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2025年5月31日

「こども食堂」への私自身の思いや、地域リビングの意味

5月も今日で終わり。
先日、石破総理と三原大臣に地域リビングを視察していただきましたが、「こども食堂」としての機能だけでなく、「孤独や孤立の問題への対策を検討する一環」として、いらしてくださったことに意義を感じています。
(※5月は「孤独・孤立対策強化月間」:notalone-cao.go.jp/main-monthly/

この総理の訪問以降、こども食堂に対する様々な意見が活発に交わされているのを目にし、私自身の思いや、地域リビングの意味について、少しまとめてみました。
長文になりますが、お読みいただけましたら幸いです。

①もともと「こども食堂」として始めたわけではない

私自身は、大学生だった2006年から、赤ちゃんカフェや地域の交流拠点の運営に携わってきました。
2013年には「地域リビング」を開設。子育て世代だけでなく、だれでも来られる常設の居場所としてスタートし、それは今も変わっていません。
例えば、地域とのつながりを持ちたい方、高齢でひとり暮らしの方、障がい者の居場所や活躍の場を求めている方、引きこもりや休職中の方、地域で何か始めたい若者、生活保護受給中で何かできることで役割を担いたい方など、多様な人が訪れ、共に運営を行ってきました。

②こども食堂=こどもの貧困対策?

多くの方が書いているように、こども食堂を運営すれば、こどもの貧困解決になるとは思いません。特に、経済的な貧困に関しては、行政が取り組むべき課題というのは、その通りと思います。こども食堂が「こどもの貧困対策」として一気に広がった当初、私自身、違和感を覚えていました。
ただし、手作りの食事を安心して食べられたり、地域のいろんな大人やいろんな世代のこどもたちと一緒に食卓を囲むことで孤食を防げたり、催しに誘われて、新たな経験ができたりと、こども食堂には「付加価値」があるとも感じています。
地域リビングでは、最近は、子ども生活総合支援センターともつながってきたことで、支援が必要な家庭への見守り機能も担うようになっています。

③こども食堂は、なくなった方がいい?

「こどもの貧困が解決し、家庭で食事が取れるようになるべきだから、こども食堂はなくなった方がいい」という意見も目にしました。
しかし、私は地域の人たちと一緒にごはんを食べることそのものが、とても楽しく豊かな経験になると思っています。
こどもにとっても、多様な大人や異年齢のこどもとつながる貴重な機会になります。
「こども食堂」という言葉でなくてもいいのですが、私は、「地域でこどもを育てる」とか、「地域の多様な人と暮らしを共にする」といったポジティブな意味で居場所を捉えています。

④民間やボランティアではなく、行政が担うべき?

行政は、明確な課題に対しては対策が取りやすいため、貧困対策や物価高騰への支援などは行政が主導すべきと思います。
一方で、孤独や孤立、そして日常の暮らしへアプローチする取り組みは、行政だけでは対応が難しい面もあると感じています。
月1回のこども食堂の場合、あくまでもボランティアの負担にならない範囲で開催し、必要があれば、行政が参加するのが良いのではないでしょうか。
常設の居場所等、福祉的な側面を担う場合については、制度化した上で地域や民間が担っていくのが理想的ではと考えています。

⑤ボランティアに頼りすぎていないか?

この点は、私もそう思う時があります。
ボランティアなので、疲弊するほどやらなければいいのですが、20代のころは、「目指す社会」に向かって突き進む力がありましたが、今は、私自身も子どもがいて、無理のできない年代に入ってくると継続の難しさを実感することもあります。
一方で、無理のない範囲でのボランティア活動は、ボランティアにとっても、参加者にとってもプラスの側面があり、人の輪が広がり、仕事でないからこその心からの「ありがとう」がもらえたり、全てがビジネス化されがちな社会の中で、お金では換算できない価値が生まれたりという楽しさがあり、こどもたちにとっても、仕事としてでなくつながった仲間は一生のものになることもあるのではないでしょうか。
月1回開催のこども食堂であれば、ボランティアベースでも十分可能であり、子どもを中心に、地域の人たちが様々なものを持ち寄って、開催することは、地域の活性化になると考えます。
しかし、地域リビングのように、日常的に場所を開いていると、課題を抱えた利用者やさまざまな背景を持つボランティアもいるため、調整や対応の難しさを感じることがありました。ボランティアだけでは運営が不安定で、うまく対応できず申し訳ないと思ったことや、利用が続かなくなってしまう人もいました。
そのため、地域福祉の核となる人材は、有償とする必要性を感じ、交流拠点のコーディネーターの価値が認められていない点が課題と、事業説明で総理や大臣にもお伝えしました。
今まで、地域共生社会や重層的支援など、色々とワードは出てきて、私が目の前で見ている現状と同じようなことが書かれているのに、総合事業の「生活支援コーディネーター」や重層的支援体制整備事業の「ソーシャルワーカー」などに予算がつくだけで、民間で地域の交流拠点を運営する人員には、予算はついてきませんでした。仮に国や都の制度があっても、自治体が取り組まなければ実現には至らず、結果、疲弊してきたのはあります。
近年は、「ボランティアでできる範囲でやってくれ」と「そこまでの活動は求めていない」ということなら、別の方法を考えようと活動してきたところはありました。

⑥多機能共生型の地域の交流拠点へ

少子高齢化や世帯あたり人数の減少が進む中、地域がつながって暮らせる仕組みはますます重要になっています。
地域リビングは、困りごとを抱えた家庭も利用していますが、そうでない家庭も、家事・育児負担が大きい家庭も多いです。
今後、労働人口が減少していく一方で働く女性は増えていくかと思います。
子育てと仕事の両立など、日常生活が結構いっぱいいっぱいな方は多いのではと思います。実際、「理想の子どもの数」と「実際の子どもの数」にギャップがある理由として、経済的負担や体力・精神的な問題を挙げる人も少なくありません。実家に頼れなかったり、ワンオペになっていてたりと家庭状況はさまざまですが、そんな家庭のすぐ近所に、「子どもも巣立ち、ご飯を作る甲斐がなくった」という高齢者いたとしたら、双方がつながる拠点があることは、とてもプラスなことと思います。
今は、ほとんどの政策が全て縦割りで、問題解決型ですが、高齢者や障がい者の活躍の場であり、デイサービスのない日の通いの場であり、こどもの居場所であり、現役世代の家事・育児負担の軽減の場であり、単身者が地域で接点をもつ場であり、社会復帰への場でありと、その時によって、参加している人は違うかもしれないけれど、そういった多機能共生型の地域の交流拠点が制度面も整い広げていけたらと考えています。

⑦最後に

総理と大臣の視察を受けるというのは、私にとっては貴重な経験でしたが、警備の方も多く、総理が来るという情報も外に出したらいけないというのは、命の危険も考えてのことなのかと思いました。
また、一部の方から、私自身のことを野党系とか、左とか書かれているようでしたが、今まで通り、与党も野党もなく、必要な政策を是々非々で前に進めていけるよう、地道にがんばっていきたいと思っています。

長くなりましたが、読んでくださった方がいたら、感謝です。ありがとうございました^^

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