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2015年10月28日

2015.10.27 : 平成27年第3回定例会(第4日)で反対討論をしました

2015.10.27 : 平成27年第3回定例会(第4日)で、反対討論をしましたので
ご報告させていただきます。
2015.10.27 : 平成27年第3回定例会(第4日) 本文
◯井上温子議員  報告第1号平成26年度東京都板橋区一般会計歳入歳出決算、報告第2号同国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算、報告第3号同介護保険事業特別会計歳入歳出決算、報告第4号同後期高齢者医療事業特別会計歳入歳出決算に、反対の立場から討論を行います。
 国の税収は、平成26年度、企業業績の回復で法人税収が想定より増え、リーマンショック前を上回っています。板橋区でも同様に企業業績が回復し、平成26年度には歳入面に大きな改善が見られました。しかし、今の日本は、景気や企業収益の回復が国民生活の豊かさには直結していないと言えます。
 平成27年6月に行われた日本経済新聞の世論調査によると、景気回復を実感していると答えた人が18%、実感していない人が75%となっています。
 また、厚生労働省が平成26年7月10日に行った国民生活基礎調査では、生活が「大変苦しい」が29.7%、「やや苦しい」が32.7%で、「苦しい」と答えた方が62.4%となり、平成16年では55.8%であったのが、年々上昇傾向となっています。特に児童のいる世帯では、「苦しい」と答えた世帯は67.4%で、全世帯の平均を上回っている現状にあります。
 板橋区でも、生活保護費の支出済額は372億81万円で、前年度と比較し2%の増となり、景気回復とは裏腹に、生活の厳しさや格差が拡大していくという社会状況があります。一層気を引き締めて、一人ひとりの生活に寄り添った区政運営が求められている状況であると認識しております。
 そのような中、板橋区政の取り組みについて取り上げていきます。
【子どもの貧困・ひとり親家庭への支援について】
 まずは、子どもの貧困やひとり親家庭への支援ですが、子どもの貧困の連鎖解消に向けて、国でも積極的に取り組む姿勢となってきております。子どもへの投資は必ず将来の社会へ還元されていきます。板橋区では、生活困窮者自立支援法による学習支援事業では、まなぶ~すの取り組みが始まっていますが、委託で区内数カ所で開催するのではなく、子どもたちが歩いて通える身近な地域に、住民主体で運営される居場所を広げ、住民主体で学習のサポートや食事などの生活面をサポートできる仕組みづくりを進めていく必要があります。
 また、貧困家庭に特化せず、様々な家庭環境の子どもたちを受けとめる社会インフラを整備していく必要があります。
 例えば、ひとり親家庭を支援するホームヘルプサービスについてです。
 予算額や決算額が以前より大きく下がってきています。利用者も年々減ってきているということですが、2015年の予算総括質問でお聞きしたところ、利用者の減少理由が分析できていないといった状況が明らかになりましたが、これでは支援が適切にできるはずがありません。
 ホームヘルプサービスの内容は、所得によって有料としたり、小学校修了後の児童は、派遣対象としないとしていたり、当初よりも制限を厳しくし、利用できる方の範囲は狭まってきています。
 しかし、ひとり親家庭が抱える課題は、貧困などの経済的問題だけでしょうか。中学生になったらホームヘルプサービスは要らないと言えるでしょうか。私は、所得に関係なく、ひとり親世帯の家庭をサポートする必要があると考えます。収入が多い場合については、長時間労働になってしまうことが多く、ひとり親で仕事をしながら家事も育児もするのは、日々大きなストレスをため込んでいくことにつながります。
 また、ひとり親家庭の方から聞くのは、「今、収入があっても、この先どうなるかわからない。自分一人だと思うと、将来の子どもの学費や老後のことを考えると、最大限節約したいという気持ちです」と話されていらっしゃいます。
 働きながら一人で子育てをする方たちに、継続して働き続けやすいように、ホームヘルプサービスは無償で保障してはいかがでしょうか。少し手助けをしてもらうだけで、一人での子育てではないと実感できる場合もありますし、家事を手助けしてもらうことで、子どもと向き合える時間が増します。
 また、男性が一人で子どもを育てる際も、所得はあっても子育てに苦労するといったこともあります。父子家庭で兄弟の中学生のお兄ちゃんがご飯をつくっているといったご家庭にもお会いしました。所得制限や小学生までといった制限をつけずに、ひとり親家庭のサポートへと改善を提案します。
 もちろん平成26年度子ども若者白書によると、子どもの相対的貧困率は、大人が一人の世帯の相対的貧困率が50.8%であり、ひとり親家庭の大多数は貧困に苦しんでいますので、貧困に苦しむ家庭への支援のさらなる充実は検討を進めていただきたいと思います。
 また、親子の中には言葉の問題で困っている場合もあります。小学校の現状では、日本語学級が足りていない、待ちが出ているといった現状もお聞きしました。多国籍の親子が住みやすい板橋区へのさらなる努力を求めます。
【認証保育園について】
 次に、認証保育園についてです。
 平成26年度から、認証保育所等保育料負担軽減助成金が、一律1万円から所得階層別に改善されました。一律1万円から最高で2万円の助成となり、決算額も、平成25年度が9,990万円だったのに対して、平成26年度は1億3,476万円となり、1.3倍となりました。一歩前進ではありましたが、しかし、いまだに通う保育園によって保育料の格差が大きく開いております。
 例えば年収300万円未満だと、認可保育園の保育料は1,000円から3,500円ですが、認証保育園だと3万9,000円で、その差は最小値でも3万5,500円あります。年収500万円未満の方の場合は、認可保育園だと3,500円から1万7,800円に対して、認証保育所では3万9,000円で、その差は最小値でも2万1,200円です。
 低所得者やひとり親家庭にとって、この保育料格差は大変大きな問題であります。多様な保育所があってもよいと考えますが、保育料格差を放置しておいてはならないと考えます。区長が平成26年度の施政方針演説でおっしゃっていた「負担格差のさらなる是正と公平性の確保を図る」ことが事実できていない現状であり、この保育料格差は見過ごせず、改善を求めます。
 生活が厳しい社会状況の中、生活保護や保育等、こういった経費は増大していきますが、逆に高齢者の生きがいづくりやコミュニティの活性化には、地域力を生かし、効率的な運営が求められます。
【地域会議について】
 板橋区の自治を高めていく取り組みとして、地域会議についてですが、毎年指摘をしておりますが、執行率は依然低いままです。94万6,000円の予算に対して、決算額は64万1,987円で、執行率は68%です。そして、平成26年度時点で地域会議の設立は3カ所、地域情報連絡会の開催は3地区で5回のみとなっています。
 地域会議の目的は、「地域の多様な主体である町会・自治体をはじめ、商店街、企業、NPO、それから区民の人たちが相互に連携して、地域の課題を解決していくこと。10年後、20年後を見据え、より広範な主体の人たちが活動できる場をつくっていくこと」であると、平成27年3月の予算審査特別委員会にて答弁がありましたが、この目的に対する達成割合はどれぐらいでしょうか。
 現状の地域会議は、防災マップをつくったり、スポーツに取り組んだりなどと、何らかの事業をしてしまうものに陥っているようです。しかし、本来の目的を見直し、方向性を区がそろそろ示してはいかがでしょうか。
 予算審査特別委員会でもお伝えしましたが、地域会議の運営は4段階に分けていく必要があります。
 第1に、地域課題のマップをつくること。
 第2に、地域資源を知ること。
 第3に、新たな担い手を育成していくこと。
 第4に、地域活性化につなげていくことです。
 地域会議はあくまでも会議であり、出てきた課題の解決を自らしないことが大事です。自ら取り組んでしまっては、例えば1年間で防災マップをつくるだけで終わってしまいますから本末転倒です。「出てきた課題に対して取り組んでいるところはないのだろうか」「NPOでこんな団体がある」「行政の制度はこうなっている」など、地域資源をマッチングし、地域でそういった団体の応援をしていくこと。また、誰も取り組んでいない課題が見つかった際には、地域に呼びかけ、新たな担い手を育成することが役割のはずです。
 そして、プロジェクトが新たに立ち上がったときには、定期的にその活動を報告してもらい、地域の方たちにも参加してもらう、こういった流れで地域活性化につながっていくと考えます。
 行政側が地域会議の役割、目的をきちんと示さずして成り立ちません。今のようにずっと停滞してしまっていくと考えます。板橋区が予算をつける意味というのをきちんと考えて進めていただきたいと思います。
【高島平グランドデザインについて】
 次に、高島平地域グラウンドデザインについてです。
 高島平地域グラウンドデザインについての分析報告書と素案作成については、地域資源の掘り起こしが十分でなかったと考えます。地域住民との協働が大事だと考えるなら、まずはまちを歩いて地域資源の掘り起こしをすべきです。
 また、20代から40代の若手が住みたいと思うまちづくりをするのであれば、若者会議などを実施して、素案作成段階から若者の感性を取り入れていく必要があったと考えます。
 今後、高島平デザインセンターの設置については、地域会議とは別枠で立ち上げていくことを予定されているそうですが、これは縦割り行政の最たるものではないでしょうか。地域会議においても、10年後、20年後を見据えて話し合う機関であり、会議体が重複しています。既にまちの学校や地域ケア会議、今後は新しい総合事業の協議体など、地域には多数の会議体が立ち上がっていきます。地域会議とデザインセンターは別個で横並びとせずに、きちんと整合性をとるべきではないでしょうか。
 そして、板橋区は、今後、集会所の閉鎖や児童館の縮小といった方向で進んでいきますが、今一度見直していただきたいと思います。行政は行政にしかできない福祉の部分に集中して取り組むこと。ほかにもう一つ、行政がすべきは、住民が活躍できるインフラづくりです。
 地域のつながりが希薄になり、様々なことを行政でしなければならないという状況になったり、多くのことがビジネス化してきました。しかし、今後このままでは持続可能な未来はないと思います。ひとり暮らしの高齢者の増加、共働きやひとり親家庭の増加、障がい者の地域での暮らしや外国人との共生など、多様化する社会状況の中で鍵となるのはコミュニティを生み出す仕組みです。
 例えば、板橋区が生きがいづくりをするというのは、大変おかしな話です。生きがいを持てる地域には何が必要なのか、そういった根本的な視点を持って取り組むことが重要です。
 民間開放は法人向けだけではなく、住民へも行っていく必要があります。また、委託だけでなく、NPOやボランティアとの協働では、助成制度を充実させ、地域福祉の担い手を育成し、新しい公共を進め、ソーシャルキャピタルを向上させていくことを求めます。
【特別会計について】
 次に、特別会計についてです。
 国民健康保険事業特別会計については、調定額に対する収入率は71.7%で、前年度と比較し、0.6ポイント低下となりました。低所得者が多い国民健康保険制度において、今の保険料が適切かというと、大きな疑問があります。
 また、平成26年4月に新たに70歳になる者から、段階的に一部負担金は2割となりましたが、平成26年3月末までに既に70歳に達している者は、特例措置の1割を継続するという不公平で不可解な見直しであり、納得できるものではありませんでした。
 介護保険事業特別会計については、介護予防事業費について取り上げますが、平成23年度、全国の介護予防事業費と板橋区の平成26年度の介護予防事業費を比較すると、板橋区の介護予防についての今までの取り組み姿勢が見えてきます。
 特徴的なのは、介護予防費に対する介護予防普及啓発事業の割合について、全国的には24%ですが、板橋区では45%。逆に、介護予防費に対する地域介護予防活動支援事業の割合について、全国的には13%ですが、板橋区ではたった1.1%となっています。
 この1.1%と極めて低い地域介護予防活動支援事業の内容は、介護予防グループ支援事業や地域ボランティア養成事業です。今までの板橋区の介護予防政策は、地域資源や地域力を生かして推進するといった試みが弱かったと言える予算配分となっています。
 また、平成26年度の板橋区の二次予防事業全体の経費は、7,185万8,000円ですが、対象者把握にその52%を使っています。さらに、二次予防事業通所・訪問事業には、47%の3,402万3,398円となっていますが、480人しか参加者がおらず、1人あたりの経費が平均7万円となっています。高齢者に占める二次予防事業参加者の割合は、国平均の0.7%よりも低い0.4%しか参加しておらず、大きな課題がありました。
 これらの課題を精査し、来年度から始まる新しい総合事業では、大きく方向転換し、住民主体のサービスを23区初の協働モデルとして実施し、打開していっていただきたいと思います。
 後期高齢者医療制度では、低所得者の保険料を最大9割軽減している特例措置を、平成28年度から段階的に廃止する案が示されています。そもそも特例措置をしなければならないような制度をつくるのも問題ですが、さらに、年金生活をしている低所得者の人たちの負担を上げていくような方向では、耐え切れずに生活保護世帯の増加を招くだけだと考えます。
 以上、協働の推進と縦割り行政を打開して、創造的行政運営を求めて討論を終わります。(拍手する人あり)

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