地域リビングから始まる物語 第4章
長い人生の中で、何があっても、希望を持って生きられるまちへ
「ピンポーン」「は~い!」
受験に失敗して、ひきこもりがちのタケシくん。
NPOのおじさんが自宅に手作り弁当を届けにきてくれている。
毎週会っているうちに、「ちょっと手伝ってもらえる?』と聞かれ、こども食堂のお手伝いをするように。ここでは、おじちゃん、おばちゃんがごはん作りやこどもの面倒を見ている。
「こどもは巣立ったし、家でやることなくて」と笑顔で話す人も。
タケシくんは、外でこどもと鬼ごっこ。「次はいつ来るの?」と聞かれて嬉しそう。ここでは障がい者も垣根なく参加していて、いろいろな人生や家族の想いがあることも知ったんだって。
つながりが持ちにくくなったコロナ禍、私は、仲間とともに、見守りが必要な家庭への訪問サポートをNPOで実践。
2023年度板橋区予算で、「支援対象児童等見守り強化事業」として実現しました。
しかし、地域交流拠点と訪問支援が必要なのは、こどもだけではありません。
まるっと共生型で取り組み、「地域で子育て」が実際にできるまち、高齢者や障がい者が「一人暮らしでも最期まで自宅で暮らせるまち」を目指して、政策提案していきます。
一人ひとりの声から
板橋の未来をつくる
一人ひとりの声から描く12年間の活動報告と板橋の未来
一大政策と7本の柱
みんなの近所にみんなが集える
常設の地域の交流拠点を
単身世帯と夫婦のみで暮らす人が全世帯の60.8%を超え、孤立しやすい社会状況となっています。
また、核家族化が進み子育てや介護も負担が増しています。
地域を単位に暮らしをシェアし、つながりのある地域をつくるため、多世代共生型の地域の交流拠点を小学校区に設置すること。 これが私の「 一大政策」 です。
長い人生の中で、元気がないときがあるのは誰もがおなじ
例えば、失業したり、病気になったり、大切な人を亡くしたり。
長い人生の間には、さまざまなことが起きます。結婚やこどもの有無に関わりなく、安心して暮らし続けられる環境が必要です。交流拠点では、会話をしながら食事をしたり、住民が運営を担ったりすることによって、自然と人と人とのつながりを生み出します。
村社会ではない、開放型の地域コミュニティ拠点を
「昔の村社会みたいなコミュニティはいや!」という声をよく聞きます。私も同感です。所属や価値観を強制されるコミュニティは今の時代に合いません。自由に参加できる開放型の交流拠点は、つながりたい時につながれる場所。地域に「学校や職場と関係のない仲間」を増やします。
でも、いろいろな人がいるところには行きづらい
けれど、人が集まる場に初めていくのは難しい方も。そんなときには、なんでも相談できる「 つなぐ人」がサポートします。ひきこもり、生活困窮、障がい、不登校、ケアリーバー、病気など、同じ状況の人が集う居場所と、多様な人が集う交流拠点。各段階に「つなぐ人」が伴走し、人とのつながりの中で、趣味や学習、仕事など関心のあることに一歩一歩踏み出せるきっかけをつくります。
小学校区に設置し、地域活性化へ
開放型の交流拠点が機能するには、徒歩圏内に点在することが望ましく、まずは小学校区への設置を目指します。しかし、身体が弱った方の利用や、自分に合う拠点の選択肢を考えると、コンビニの数に近い設置や移動支援が必要です。
開放型の交流拠点は、福祉的機能だけでなく、地域のつながりが増えることによって、防災力の向上や、地域経済の活性化が期待されます。
- 1
- 心・時間・お金に
余裕をもてる育児環境を
- 2
- ずっと自分らしく、安心して
暮らし続けられる地域へ
- 3
- すべての子ども・若者に
笑顔と希望を
- 4
- 自然の保全と活用
- 5
- 地域の力を
もっと引き出せる制度を
- 6
- コロナ・物価高
- 7
- 地方とつながる、
海外とつながる
現状の区の施策はトップダウンの行政主導になりがちで、現場のニーズや地域の活動が反映されづらく、制度の狭間に落ちて支援が届かない人たちがいます。
私は、区内3か所で地域交流拠点を「実践」し、まちで出会った一人ひとりの声から「研究と調査」を積み重ねて「政策提言」することで、ボトムアップで「政策実現」してきました。
私生活では、流産の辛さも経験し、2021年に1児の母に。命の尊さを実感したことで、「すべての命が大切にされ、何があっても希望を持って生きられるまちをつくりたい」という気持ちをより一層強く持ちました。今後も、一人ひとりの声を大事に、提言していきます。