2019年10月27日
第10期 第3回板橋区住宅対策審議会についてのご報告
少し前のことになりますが、9月3日に、「第3回板橋区住宅対策審議会」が行われました。
審議事項は、以下の通りです。
・前回までの整理
・区内空き家の現状について
・空き家発生メカニズムの検証
・空き家対策の課題と施策の方向性について
審議会での私の意見を簡単にまとめましたので、ぜひ読んでください。
◉さまざまな試みが支援できる仕組みを
・空き家の利活用について議論をしていくことはすばらしいことだと思いますが、特定空き家以外のものは、基本的にはそんなにたくさん、次々と活用が進むものではないと思っています。23区や他自治体の焦れを見ていても、年に数件で、10件いくところはほぼないというスケジュール感で、1件ずつ利活用が進んでいるというイメージです。
利活用したい立場の今後の方向性についての意見を言うと、も少し引き出していく必要はあるのかなと思います。世田谷区等で昔から実施している空き家の相談窓口やマッチング事業というのは板橋区でも現在考えられているということですが、そういったものが、情報をずっと集約していく機関、窓口というのはとても重要と思っています。
その中でオーナーさんたちは、それぞれのタイミングや、長年決断がつかなかったけれども、なにかきっかけがありそのような空き家活用の窓口に登録してみて、そこで、たまたまマッチングしたらうまくいくなど、そのくらいの件数になってくると思うので、もう少し具体的な活用案というのを考えていけたらいいのかなと思っています。
・以前、板橋区の住宅を紹介する「りんりん住まいるネット」というのがあって、そこに相談に来られた方で、住宅が見つからない方はそんなにいないというお話があったのですが、結構地域の方のお話を聞いていると、犯罪歴がある方や、高齢者や障害がい者等、特に精神障がいがあると、ほとんど見つからないという現状もあります。
一方、セーフティネット住宅は、板橋区で現在 11戸登録されていて、全部で3棟です。その中で、精神障がいや犯罪歴がある方となると、1戸に絞られてくるというような状況があり、そういった福祉的な課題からも、活用案というのを考えていく必要があるのかなと思っています。
前向きな活用案というのは、民間からいろんな枠なく提案してもらって事例をつくってい
くということがいいとは思いますが、ホームレスの方や、精神障がいの方、福祉的な支援が必要な方に関しては、行政が特に取り組まないと進まないことだと思っていています。
また、色いろ調べていくと、「つくろいハウス」というのが、ホームレス支援の住宅として色いろな民間のネットワークを活用しながら住宅支援をするような団体や、ひとり暮らしの高齢者の方やひとり親の方、共働き世帯など、そういった方を支援するものでは、タウンコレクティブ、コレクティブハウジング社さんがやっているような活動など、様ざまあるので、実際にやっていらっしゃる方が活用しやすいモデル事業のような形で、板橋区としては、その提案を受け入れていくという形にしていったほうがいいのかなと思いました。
◉利活用主体の掘り起こしの大切さ
区の資料にある〝利活用主体の掘り起こし〟というのも、とても重要だと思っています。利活用主体の掘り起こしの事例では、リノベーションスクールとか、何か空き家活用の事例を学ぶ場だとか、イベントとかを結構やっていらっしゃる自治体ってあり、そこに、空き家の提供者、空き家を活用したいなと思う人にも参加してもらいながら、マッチングができる場合があります。
ただただマッチングの窓口をつくりましたよと言っているだけだと、なかなか広がらないので、例えば、社的養護というか、児童養護施設退所者の方向けとか、子どもの住まいをつくりたい人だったら貸してもいいよという人、空き家を提供してもいいよという人や、居場所や交流の場所だったら空き家を提供してもいいよと、そういう場所だったら運営してみたいという人が、たまに勉強する場みたいなところはとても重要で、そのようなことを細かくやっていかないと、調査したのはいいけれども、事例が生まれないということになってしまうのかなと思います。
◉制度の周知
もう一つ重要だと思っているのが、やはり制度の周知です。
空き家を活用するといったときに、先ほどの社会的擁護の関係だと、社会的養護自立支援事業というのが国ではあって、そういったものを活用するのだったら、こんな方法ができるのではないかというようなことを知っていることが大切ではないでしょうか。
例えば、改正住宅セーフティネット法で、板橋区は家賃補助はしないとは言っています。
一方、福祉的要素が強いものだとビジネス的には全然だめになってしまうことがあるので、そのような場合はいろいろな制度の、福祉的な活用と福祉外の活用が必要になるではないでしょうか。福祉的な場合は、住まいや居場所として提供する場合と、障がい者の方たちの社会参加として使う場合の形があると思うのですけれども、そういったものは、それぞれ色いろな制度がどのように活用できるかというのは、住宅部門ではあるけれども、連携して考える部分であるのかなと思いました。