2019年10月31日
2018年度決算に対する討論を行いました。
10/29に、2018年度決算に対する討論をしました。
私の発言を以下にまとめましたので、ぜひお読みください☆
〇財政について
板橋区のH30年度決算は、歳入2157億72百万円、歳出2111億65百万円。
実質単年度収支は49億57百万円の黒字で、平成29年度の26億81百円と比較すると約22億77百万円の増となっています。
また、財政調整基金に59億28百万円の積み立て、平成30年度末積み立て目標である210億円を超え、264億46百万円となりました。
財政構造の弾力性を示す経常収支比率は82.6%で、平成26年度は84.9%、平成27年度から3年間83%代であったのと比較すると下がったが、適正といわれる70-80%を上回っている状況にある。しかしながら、民間領域の拡大とともに、行政の役割が福祉に重点をおくものとなっていることもあり、問題ない範囲であると考えます。
総務省自治財政局からは「より少ない一般財源で投資的事業を行うことが可能となっており、経常収支比率が 80%を超えたとしても、 財政構造が弾力性を失いつつあると一概には言えない面も出てきている。」との見解も示されています。
自由になる財源は少なくても、いかに創造的な事業をするかが大切です。100万円で10人の若者は何を生み出すでしょうか。1000万円で10人の起業家は何を生み出すでしょうか。行政が企画するばかりではなく、地域からの提案型でやることによって、財政の硬直化は打開できるのではないでしょうか。
板橋区の財政規模は町村規模と比較すると大変大きいです。18地域センターごとに、一つの自治体と捉えて、人や事業者に着目し運営にあたることで、地域の魅力をさらに発掘し、創造的な事業を生み出すことができるのではないでしょうか。
また、板橋区の歳出総額に占める扶助費は、平成30年度817億円の38.7%で、平成29年度819億円の39.2%より2億円弱減、0.5%減となっていますが、平成25年度の702億円と比較すると115億円増加しているため、景気などの影響で、歳入が大きく減少した際には不安が残ると考えます。
このような社会状況の中、今回の討論では、反対する視点を7点取り上げます。
1. 課題に寄り添う事業運営を
あいキッズ事業については、「小学生の安心・安全な居場所として機能している」とした評価を強調されていますが、課題についての調査や分析が不十分です。
SDGsを板橋区として取り入れるのであれば、マジョリティに過ごしやすければ、それで良いのではなく、マイノリティになってしまいがちな子ども、家庭にこそ耳を傾けていただきたいです。また、子どもたちの状況にあった多様な選択肢を用意できることを検討してください。子どもの遊び場についても、行政として計画策定をし、年代別に、子どもたちの多様な遊び場がどのように広がっているのか、地域偏在はないのかなど確認が必要です。
学校支援地域本部のコーディネーターについては、十分活用できていない学校もあるので、ぜひ、進めていただきたいとおもいます。学校を支援するという視点だけでなく、地域資源を開拓し、結びつけていくことや、子どもたち支援を行うことを目指していただきたいとおもいます。
児童館についてですが、全区立小学校で全児童を対象とした放課後児童健全育成事業「あいキッズ」がスタートしたことに伴い、児童館は、乳幼児親子を主な利用対象とする「子育て応援児童館CAPʼS(Children And Parents’ Station)」に転換されました。その結果、平成25年度には、約43万人利用していた小学生は、平成30年度、2.6万人にまで減少し、5年前と比較すると年間約40万人減少しています。また、ボランティア等の利用数も約5万人減っている状況です。児童館は以前、夏は18時まで開いており、小学生の放課後の場所としても安心して過ごせる場所でした。児童館の夕方以降の時間帯は乳幼児親子も減るはずです。時間帯別利用者数について把握をしていき、改めて子どもたちの居場所としての機能を広げていただきたいです。
次に、福祉事務所についてです。昨年度、福祉事務所のケースワーカーさんは、板橋、赤塚、志村で112人、108人、96人担当しているということでした。
基準の持ち件数は、国は87人、区は80人を大きく超えてしまっています。福祉事務所の設置件数は、10万人に1箇所ですので、板橋区の人口57万人と考えますと、5~6箇所が必要です。これでは、丁寧なサポートができにくいと考えますので、改善を求めます。
どの事業においても、「事業がうまくいっている」ことを強調しなくて良い、職場環境づくりが必要と考えます。職員一人ひとりが、課題に寄り添い、なぜその課題が生まれたのか、解決策は何か、分析する力をつけていただき、課題のピックアップ力を向上することで、課題に寄り添った事業運営を求めます。
2.富の再分配へ公平な事業運営を
行政の役割は、富の再分配をすることによって、格差社会の緩和や、貧困の連鎖解消に取り組むことが重要です。
国や都の制度がいかになろうとも、その様々な制度を集約し、分析し、区民に納得のできる所得に応じた公平な事業として届けるのが、基礎自治体の任務です。しかしながら、工夫すればできるにもかかわらず、一部の人に負担を強いる状況にしているのは看過できません。
代表例として、保育サービスについてです。
各種保育園へのひとりあたり経費を平成26年度と平成30年度で比較しますと、区立認可保育園は約217万円から229万円、私立認可保育園は169万円から200万円、家庭福祉員は132万円から247万円、認証保育所は131万円から192万円へと変化しています。
区立認可保育所を基準額として、一人あたり経費の差額をH26年度とH30年度で比較しますと、私立認可保育園は-48万円から-29万円、認証保育所は、-85万円から-36万円に。
一人あたり経費に差はあるものの、少しずつ、経費格差は縮小してきています。しかしながら、東京都の補助が入り、区の負担が減った分を活用すれば、保育料格差をゼロに近づけることができましたが、行いませんでした。
また、今年10月からは、幼保無償化がはじまりましたが、逆進性の高い消費税で高所得者に恩恵があるこの制度は課題が多いです。板橋区には、調整の役割を担っていただきたいところですが、残念ながら、この制度によって、恩恵を受けられない人たち(認可保育園に入れなかった人、認可保育園の枠では預けにくい人、一時保育や定期利用保育を利用しながら子育をしたい人)への配慮に欠けています。待機児童の解消を進めることはもちろんですが、すでに困っている人たちのためにも、すべての保育施設の1日あたり利用料を平準化を一刻も早くすべきです。
予算が限られた中でありますから、全体の保育料格差の是正のために、認可保育園の高所得者の人たちには、主食費、副食費の負担をしてもらうことは、理解が得られることとおもいます。 来年度以降に向けましては、幼児・保育環境の全体の分析を行い、進めていただきたいとおもいます。「子どもの貧困対策」は、こうしたベースとなる福祉事業を所得状況に応じて行うことが基本ではないでしょうか。
また、先日の決算総括質問の答弁では、認可に落ちて、認証保育所に入らざるを得ない方に関してはといった表現が二度ほどありました。認証保育所に希望して入っている方については、区として保育料格差が生じていても良いと受け取られるような発言です。特に高級な保育所であれば別かもしれませんが、一般的な認証保育所であれば、認証保育所を選択しても、認可を選択しても、同程度の保育時間なら同程度の保育料で入れるべきではないでしょうか。働き方は多様です。その多様なニーズに全て認可で対応してくださればいいですが、そうはなっていません。夜間など、認証保育所が対応しているので選択しているという場合もあります。民営化や民間の力の活用を進めながら、一方で、こういった認可のみを優遇する姿勢はあってはならないと考えます。
これは、高齢者施策についても言えることです。
特別養護老人ホームについては、1億3千万円の補助金を出し、高額なユニット型個室をつくっている施設もありますが、ユニット型では利用料金の関係で入所できない人が多くいます。多床室は、以前、プライバシーや人権面から課題がありましたが、近年では、カーテンではなくパーテーションのようなボードで仕切り、格段に状況は改善されています。国民年金受給者でも入所できるよう、多床室を増やすよう事業を進めるのが重要です。
また、自宅で生活支援や介護・看護・医療を受けながら暮らしていきたいと願っている人は数多くいるにもかかわらず、施設入所に比べ、制度が不十分です。家族に負担がいってしまうから施設に入所する、一人暮らしだと在宅は無理と諦める方も多いです。
施設入所と在宅での暮らし、一人当たり経費の分析を進め、自宅でも十分な生活支援や介護・看護・医療を受けながら暮らせる仕組みが重要です。
行政は所得に応じた事業実施、富の再分配の意識を忘れずに、区民目線で公平な事業運営を進めていただきたいとおもいます。
3.定期的な見直しで事業改善を
いたばし健康づくりプロジェクトは、平成30年度は全部所合計で約3,700万円をかけて行われていますが、一人あたり経費は平均約17,000円となっています。産業振興課のセミナー開催では、平成28年度はセミナー開催に一人あたり6万円もの経費をかけていた時期もあます。平成30年度は約1.9万円ではありますが、一人あたり経費が高額すぎます。また、1回あたりのセミナー講師料は約30万円ということですが、30万円かけて、13名、20名、30名の参加者数となっており、集客力に乏しい状況です。
来年度やっと見直す予定ということですが、なぜこのような事業が運営できてしまってきたのでしょうか。区の講師謝礼の基準額は、一番高くて1時間 円です。委託で丸め込むことで、こういったこいとが起きて良いのでしょうか。企業連携をする際に、お金をつぎ込むのではなく、社会貢献でセミナー開催をしていただくといった形を引き出していくのが大事ではないでしょうか。
高齢者紙おむつ等支給事業 平成30年度決算額1億5,647万円については、長年10社が応募し、9社が辞退しているということのようですが、競争性が担保されるよう改善を進めてください。また、メーカーについても1つのみとのことですが、高齢者の人たちが選択できるよう、取り扱いを広げるようお願いいたします。また、心身障がい者紙おむつ助成事業についても10社応募し、9社辞退ということですので、同様に改善を進めてください。
心身障がい者理美容サービス事業については、理美容組合に入っていなければ、心身障がい者理美容サービス事業のサービス提供者になれない状況にありますが、理美容組合の加入率は22%で大変低く、妥当性に欠けます。個人事業者とも契約できるよう改善を求めます。また、訪問によるサービス提供だけでなく、理美容室に行き、外出の機会とすることはとても大事なことです。運用の改善を求めます。
4.まちの魅力の再確認を
大山のまちづくりについてです。26号線や駅前広場は、大山のまちをより魅力的にするのでしょうか。再開発をしたことによって、「なんとなく、キレイなまち」にはきっとなるでしょう。新しい道、新しい看板、新しい設備。新しければ、キレイです。しかし、「味のある大山」ではなくなっているようにおもいます。ごちゃごちゃしていて、多様性にあふれていて、活気のある、味のある大山です。再開発して、よく見かける「キレイなまち」になるのではと危惧しています。あのアーケードは短くなってしまったら、どれだけの損失でしょうか。26号線は、止められないという人もいますが、作っていないものは止められます。駅前広場も、駅前まで車やバス、タクシーが入れて利便性がよくなったとしても、魅力は落ちるでしょう。
大学生のころに、ドイツやフランスのまちづくりを見学に行きましたが、パークアンドライドで中心地には、車両が入れず、歩行者や自転車を優先していました。看板や店舗は、隣同士、同じ建築士はNGとし個性をだすこと、生の音楽は演奏自由とすることとするなど、にぎわいのあるまちづくりとなっていました。
車が中心地に入れることは、まちの魅力を急降下させると考えます。レンタサイクルや超小型モビリティ、移動支援ロボット、人力車などの導入でパークアンドライドの趣旨は実現できるのではないでしょうか。
また、東武東上線については、地下化の要望を強くしていただきたいと考えます。