2020年2月25日
一般質問で登壇しました。
2月17日に行われた、令和2年第1回区議会定例会(本会議)で質問をしました。
答弁の内容についても下記に掲載していおります。ぜひ、お読みください☆
1 子ども施策について
(1)保育について
①保育料格差是正への認識について
②認証保育所を選択された方への認識
③行政と民間一体となった子育て支援の枠組みづくりについて
(2)ひとり親支援・貧困対策について
①生活保護家庭への寄付の扱いについてと区民の善意を無駄にしない体制づくりについて
②養育費立て替え払いについて
③生活保護家庭の15-17歳のアルバイト代の収入認定について
④児童手当の受給者について
(3)こどもの権利について
※※※※答弁内容※※※※
1、 保育について
○井上温子
決算総括質問において、区民にできるだけ保育、幼児教育全体の公平化を図るのが地方自治体の役割ではないかという質問で、公平性や負担の均衡などを考慮し、適切なご負担をお願いし、多様なサービス提供に努めているとの答弁がありました。しかし、実際、通わせた保育所によって、大学の授業料分の格差が生まれています。これを承知で改善策をとらないことは大きな問題です。
○区長
認証保育所は、保育の必要性の認定を受けながらも、認可保育所の入所が不承諾となった待機児童の受け皿として、一定の役割を果たしていると認識しています。認証保育所に子どもを預けている保護者に対しては、無償化に伴う施設等利用給付や所得に応じた保育料の一部助成を行うことにより、保育料の負担軽減を図っているところ。さらなる財政負担については、東京都及び他区の施策動向を見極めながら、慎重な検討を行う必要があると考えています。
○井上温子
また、一時保育の保育料についても、1時間600円を高いととるか安いととるかは、それぞれの人の考えに委ねると答弁されましたが、問われているのは、集めた税金を公平となるよう再分配できているか。高いと感じる低所得者、中所得者に配慮すべき。保育料格差を是正し、公平化・平準化する努力をすべきと考えますが、再度見解を伺います。
○区長
一時保育は、保護者の育児疲れや急病、冠婚葬祭などにおいて子どもを保育できない場合、一時的に保育所でお預かりする制度であり、長期継続的な利用は想定をしていないところ。利用の有無にかかわらず定員に応じた保育室を確保するなど一定の経費がかかっており、現在の利用料は妥当なものと考えています。なお、幼児教育・保育の無償化実施に伴い、就労要件などにおいて保育の必要性の認定を受けた保護者については、一時保育の利用に際しても3万7,000万円までが無償化の対象となっております。
○井上温子
認証保育所について、やむを得ず認証保育所に入らざるを得なかった方については、心中察すると答弁されていますが、認証保育所をみずから選択された方についての保育料格差は、区としては考えなくてよいのでしょうか。長時間保育が必要で認証を選択される方もいます。認識を改めていただきたいが、いかがでしょうか。
○区長
認証保育所は、東京都の独自基準に基づいて設置される認可外保育施設であり、保育の必要性の有無にかかわらず、保護者と利用者の直接契約によって利用できる施設。認可保育所の選考承諾により利用している方のほかに、家庭や就労の状況により認証保育所を選択し利用する方も多くいる状況でもあります。区は、そのような方々も含めて、認証保育所等の保育料負担軽減助成を行っているところです。
○井上温子
次に、行政と民間が一体となった子育て支援の枠組みづくりについて伺います。
行政だけでは多様な子育て世帯の困りごとを解決しきれません。板橋区には、障がい児の預かりや育児相談をしている団体、産前産後の母親と暮らしを支える専門家ドゥーラなど、多様な民間の活動があります。こういった民間事業者の情報収集を行い、取組みを反映した子育て支援の新たな枠組みづくりを進めていただきたいですが、いかがでしょうか。
○区長
区では、さまざまな子育て支援策について関連団体の協力を得た事業を展開しており、切れ目のない子育て支援の充実には、民間で多様な取組みを展開している団体等との連携が重要と認識しています。これからも情報の収集に努めながら、民間の団体等、地域の資源との連携による子育て支援策を推進していきたいと考えています。
2、ひとり親支援・貧困対策について
○井上温子
先日、入学応援金を小・中学生に寄附したいという団体がチラシを置かせてほしいと福祉事務所にお願いしたところ、置くのはいいが、生活保護家庭では収入認定されてしまうので、プラスにはならないという回答でした。しかし、他区では、収入認定をせずに実施できているということで、問い合わせたところ、「生活保護費で担いきれていない自己負担分に充てるのであれば収入認定されない」という回答を得ました。生活保護家庭の小・中学生、高校生、世帯分離をし、大学に通っている大学生、それぞれに寄附の申し出があった場合、どのような扱いになるのでしょうか。
○区長
生活保護受給世帯における小学生、中学生、高校生が生活保護制度で賄うことができない部分について、寄付の申し出を受ける場合には、あらかじめ福祉事務所にご相談いただければ、収入認定から除外できるものであると考えています。大学生の場合、あらかじめ福祉事務所にご相談いただき、寄付された金銭が世帯の収入と明確に区分されていれば、収入認定から除外できる場合がございます。
○井上温子
今回のように区民からの善意を無駄にしてしまう状況は改善すべき。福祉事務所の基本業務外である寄附の申し出や、協力・連携の申し出を受ける受け皿がありません。こういった例外的な問い合わせに全ての職員が対応できるようにするのは、効率性も実現性も高くありません。担当者を決め、窓口となってもらうことで、区民からの善意を無駄にせず生かせる福祉事務所を、さらには、この体制づくりを板橋区の全部署においても必要と考えますが、いかがでしょうか。
○区長
福祉事務所においては、生活保護受給者に対する学費などの支援について、収入認定から除外できる場合がございますので、担当ケースワーカーへの事前相談をお願いしております。担当ごとに取扱いが異なることがないよう、改めて収入認定の除外制度について周知徹底を図っていきたいと考えています。また、利用目的を指定した区への寄付については、地域振興課が受付窓口になっておりますが、特定個人宛の寄付については、区として取り扱う場所を設置する予定はないところ。
○井上温子
次に、養育費の立て替え払いについてです。
ひとり親で子どもを育てる家庭が養育費を受け取れず困窮していることが多いことから、明石市の養育費の立替え払いが注目されてきました。来年度から都も支援を予定しており、区市町村には保証会社と連携するよう促しています。また、追加で区市町村が補助するケースも想定しているとのことです。板橋区においては、子どもの貧困対策調査特別委員会の報告書に「養育費保証制度の実施について検討すべき」と提言されております。実施に向けた検討を早急にしていただきたいですが、いかがでしょうか。
○区長
区では、離婚届の提出時に、法務省が策定した「子どもの養育に関する合意書作成の手引」を配付しております。また、ひとり親家庭に関する福祉の相談や、日曜開庁時の相談窓口の開設などによりまして、養育費の受給を含めたひとり親家庭の生活の安定に向けた支援も行っております。現在、区として、養育費の支払いについて直接支援する考えはございませんが、来年度、東京都が実施する「養育費確保支援事業」の動向や成果を注視していきたいと考えています。
○井上温子
次に、生活保護家庭の15歳から17歳のアルバイト代の収入認定について伺います。
生活保護家庭の15歳から17歳がアルバイトをすると、収入認定をされ、生活保護費が減額されてしまいます。この年代は高校生の場合も多く、収入認定されない例外として修学旅行費や塾費用などがあります。しかし、生活保護家庭に生まれたことで、自分自身で頑張って稼いだアルバイト代を生活保護費から引かれてしまうのはいかがでしょうか。将来の目標に向けた計画があったり、直ちに転居の必要が見込まれる場合などは認定されないこともありますが、実際、板橋区では、3福祉事務所を合計し約2,000万円が収入認定されています。
貧困の連鎖解消を目指すなら、すぐに転居が必要でなくても、自分自身で稼いだお金は、長期にわたり貯蓄をできるようにすることや、旅やさまざまなチャレンジなど、自分自身の今や将来に投資できるようにするよう改善する必要があります。
板橋区では、15歳から17歳の収入認定額について、30年度決算で初めて調査し明らかにしてくださいました。ぜひ、区民に一番近い自治体として、データを提示しながら区長会を通し国に改善するよう要望してください。
○区長
生活保護を受給している世帯は全ての収入を申告する義務がございまして、高校生世代の稼働収入も世帯の収入として申告する必要がございます。現状では国に対して制度改正を求める考えはございませんが、高校生世代の生活保護受給者が自立更生に資する費用を家計に頼ることなく捻出する努力をしていくことは、応援をしていきたいと考えています。
○井上温子
次に、児童手当の受給者についてです。
児童手当は「家庭生活の安定」や「児童の健やかな成長」を目的としたものですが、申請者や受給者は、通常「所得の高いほう」となっております。実際に離婚予定で別居中の方から相談がありましたが、別居だけでは離婚協議中であることは認められないと、一番大変な時期に児童手当をもらえずにいたそうです。逆に、子育てをしていないのに児童手当をもらい続けている人もいます。
さまざまな家庭環境がある中で、所得が高いほうが、子育てに関心がなかったり、児童手当を申請してくれなかったりすることがあります。そもそも、通常「所得が高いほう」を申請者、受給者とすることは差別であると考えます。なぜ、所得が高いほうは自分で自由に振込先を変えられ、所得が低いほうはできずに苦労する必要があるのでしょうか。
現代社会においては、その苦労を強いられている多くが女性です。所得確認のための絶対条件ではありませんし、実際に子育てをしている者が受給できるように国に改善を求めていただきたいですが、いかがでしょうか。
○区長
児童手当は所得制限が設けられているために、主たる生計者、一般的には所得の高い方が受給者となるところでありますが、別居により受給者が子どもの監護をしていない場合がございます。この場合、住民票上の住所が別で離婚協議中であることが確認できる書類をもとに申請をすることで、子どもと同居している方に受給者を変更することができるものであります。児童手当の受給者変更について国に対する要望を行う考えはございませんが、条件が整った場合におきましては同居者が優先されることとなるために、窓口相談などの際に適宜説明をしていきたいと考えています。
3、子どもの権利について
○井上温子
第4回板橋区議会定例会では、板橋区では初となる小学生からの陳情が提出されました。政治参加や子どもの権利について、擬似的に学ぶのではなく、自分たちで調べ、区長への手紙を書いたり、電話で担当課に要望をしたり、最終的に区議会に陳情を提出する、つまりは現実社会の中で体感をしていったことに、私自身、学ぶことが多かったです。
そこで伺います。小学生からの陳情で気づかされたこと、区長・教育長それぞれありましたら、お伺いいたします。
○区長
今回の陳情により、子どもたちが日ごろから感じている困り事や意見が表明されたものと捉えております。区としましては、子どもたちの意見を受けとめ、各種施策に生かしていくことが重要であると考えています。
○井上温子
また、今回、子どもが自ら発信したことが、児童館やあいキッズなどで行われている、大人が子どもの代理で課題解決をしたり、要望をしたりするのとは大きく違った点であると考えます。区議会でも「子どもの意見を聞いてほしい」という陳情項目は、全会派一致で採択されています。子ども・若者がまちづくりや政策決定に参加でき、意見表明ができる機会を広げる手法として、「子ども会議」等の設置を求めますが、いかがでしょうか。
○区長
区では、これまでも、事業に参加するお子さんたちへのアンケートなどを実施しており、引き続き、意見聴取の方法などにも工夫をしながら取り組んでまいりたいと考えています。ご提案の「子ども会議」については、子どもに係る施策について当事者の意識や意向を把握する方法・手法の一つとして参考にさせていただきたいと考えています。今後も子ども施策の当事者である子ども・若者の意見を積極的に聴取していくことの仕組みづくりに努めていきたいと考えています。
○教育長
遊び場に関する陳情に関しまして、教育委員会の見解についてのご質問ですが、本陳情は、子どもたちが仲間と共同しながら主体的に地域課題の解決に取り組んだものと認識しております。
一方、学校教育では、子どもたちが持続可能な社会の担い手として生きる力を身につけることが求められています。さまざまな変化に積極的に向き合い、他者と共同して課題を解決し、さまざまな情報を再構築して新たな価値につなげていくことができるようになることが重要であると考えます。