2020年12月7日
一般質問で登壇しました。
11月27日に行われた一般質問で登壇しまし、以下の内容について、質問をしました。
区長答弁をまとめましたので、気になる箇所がありましたら、ぜひお読みください。
●新型コロナウイルスを取りまく問題
・新型コロナウイルスへの対策
・スマホ・パソコン等のIT支援
・光熱水費の支援
・NPO法人が対象とならなかった経緯とその改善
・特養や高齢者施設における面会や外出の促し
・相談窓口の設置
●教育現場等に関する問題
・体罰対応マニュアルの作成
・体罰が起こった場合の教育委員会の対応
・特別支援学校教諭免許の保有率を向上させる具体的な手だて
・障がい者支援施設で起きた虐待
・特別支援学校の卒業後の進路
・農福連携協定の協定を結ぶ意味
●地域・住民活動について
・税収減と住民主体のサービス
・空白地域優先の見直し
・緊急事態以降の協議体
・生活支援コーディネーターの活動
・生活支援コーディネーターの市民活動への理解
・生活支援コーディネーターの公募
・協議体と介護予防生活支援サービス、一般介護予防との連携
【令和2年第4回定例会(11月27日)一般質問】
【新型コロナウイルスへの対策について】
〇井上温子
板橋区は、新型コロナウイルス感染拡大を受け、板橋区PCRセンターを設置しました。このセンターの運営委託費として1億6,000万円の予算が組まれ、現在までの支出額は1,500万円となっています。そして、8月までの検査数は182件です。
検査1件当たり8万2,491円もの費用がかかってしまっています。対して、民間の検査は診療報酬1,800点と区からの補助1万円で、1件2万8,000円となっており、区の検査はこれより5.4万円、つまり3倍高い計算になります。区の財政負担の視点で考えると、民間の検査機関であれば1件1万円の補助で済むものが、区で行うと1件8万2,491円ですから8倍以上の負担となっています。
さらに、11月10日で民間の検査への補助は予算がなくなったということで打ち切られたということですが、打ち切るべきは板橋区のPCRセンターの検査であり、民間の検査の応援は続けるべきではないでしょうか。
区民の中には、少しでも多く検査できる場を確保すべきなのではという問いもあると思いますが、10月までの検査数全体が4万499件に対して、板橋区のPCRセンターの検査数は247件で、その割合は0.9%しかありません。
費用は高いけれども、維持をしなければいけないという段階ではありません。
板橋区医師会との単価契約となっているので、検査しなければ費用はかかりませんので、まず休止すべきと考えます。
コロナ関連予算はどんどん補正が組まれていきますが、その中でも無駄なものはきちんと精査し、必要なところへ予算が届くようにしていかなければなりません。
費用対効果が悪い中、なぜ一度中断できないのでしょうか。1件当たり8倍もかかっている現状を税金の無駄遣いとの認識はないのでしょうか、伺います。
〇坂本区長
板橋区PCRセンターの、なぜ一時中断できないかとのご質問であります。
板橋区PCRセンターは、区内でPCR検査ができる医療機関が4か所しかなかった状況の中において、5月8日から週2回の検査を実施してまいりました。
現在では、保健所を通さずに発熱患者の診療を行うこととなっておりまして、検査ができる医療機関が多くなってまいりました。区といたしましては、年末年始の感染状況を見極めた上で、今後、休止等も含めて、PCRセンターの運用を判断していきたいと考えています。
続いて、税金の無駄遣いとの認識はないのかとのご質問でありますが、板橋区PCRセンター開設当初は、PCR検査の1件当たりの単価よりは、区民の安心・安全のため、検査の受皿をふやすことに意義があったと認識をしております。
その後、検査方法や検体の種類がふえ、身近な医療機関でも検査が可能な状況となってきたことは認識をしております。現在、感染者が増加をしている状況にあり、もうしばらく感染状況を見た上で、PCRセンターでの検査を見直す予定であります。
【スマホ・パソコン等のIT支援について】
〇井上温子
スマホ・パソコン等のIT支援についてです。
持続化給付金や都の協力金など、パソコンがない方には申請のハードルが大変高いものとなっている現状にあります。
また、さまざまな割引やポイント還元もスマホやパソコンがなければ活用できないものばかりです。
スマホ・パソコン弱者の方に向けて、地域センターや図書館などと連携し、相談窓口を設置したり、使い方のサポートをしたり、公共パソコンを設置したりするなど、区民にとって一番身近な自治体が支援するべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇坂本区長
区が行ってまいりました国の持続化給付金申請サポートにつきましては、区内事業者への経営相談の一環として、経営の専門家である中小企業診断士がマン・ツー・マンで申請の支援を行ったものであります。
また、区で独自に実施をしておりますキャッシュレス決済活用事業者への支援につきましても、相談窓口となるコールセンターを完備し、スマホ・パソコン等が不得手な区民への対応を行ってまいりました。
Go Toキャンペーンなどの国の施策につきましては、相談窓口も設置されているところでありまして、現在のところ、区独自のIT支援は考えていないところであります。
【光熱水費の支援について】
〇井上温子
新型コロナウイルスの感染拡大により、事業者はお店等の換気が求められ、光熱費が跳ね上がり厳しいとの声が多数上がっています。支援できないでしょうか。伺います。
〇坂本区長
区では、コロナ禍において経済的に影響を受けている区内事業者に対し、緊急特別融資をはじめ、緊急家賃助成やキャッシュレス決済活用事業者への支援など緊急経済対策を実施しております。
また、産業振興公社におきましては、営業活動促進事業や感染拡大防止事業に対する助成により、区内事業者の事業継続支援に取り組んでいるところであります。
国の要請に基づき、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた個人、事業者に対しまして公共料金の支払い猶予も講じられておりまして、区内事業者への光熱水費の助成は考えていないところであります。
【NPO法人が対象とならなかった経緯とその改善について】
〇井上温子
板橋区は、補正予算第2号において、売上げが減少する株式会社や個人事業主等を支援するため家賃助成を行いました。
しかし、驚いたことに、NPO法人や一般社団法人は除外されていました。国・都の支援策にはNPO法人は入っていたのに、板橋区だけです。
例えば、同じような飲食店を経営していたとしても、株式会社なら助成対象でNPO等は助成対象外となっているのです。当初、なりわいとしてやっている事業者を補助するためにNPO法人は対象外だとの説明を受けましたが、それはNPO法人に対する理解があまりにも低過ぎます。
NPO法人で働き、なりわいにしている人たちはたくさんいます。NPO法人は営利事業も行いますし、利益も上げてよいのです。
そもそも新型コロナウイルスの影響により、公的機関においてさまざまなことが中止される中、非営利事業を継続し続けた人たちもいます。
区の支援対象から非営利事業を外すということは、そういった人たちの応援はしないという区長の意思なのかもしれませんが、少なくとも株式会社等と同じく営利事業や課税事業を行っているNPOは助成対象として認められたはずです。
NPOを除外した経緯の説明と今後の改善策についてどのような考えかお伺いします。
〇坂本区長
板橋区小規模企業者等緊急家賃助成は、コロナ禍の影響を踏まえ、固定費である家賃を助成することによりまして、雇用の維持や事業の継続を支援するために実施をしたものであります。
中小企業基本法第2条で定めるところの会社のうち、小規模企業者と個人事業主がコロナ禍による影響がより大きいことや、同法律上の会社とは記されていないために、NPO法人、社会福祉法人等を助成対象としなかったものであります。
今後も時勢に即した適切なスキームを検討し、事業執行を図っていきたいと考えています。
【特養や高齢者施設における面会や外出の促しについて】
〇井上温子
次に、特養や老人ホーム等における面会や外出についてです。認知機能が衰えてきている方、体が弱ってきている方にとって、特養や老人ホームなどに閉じ込められ、面会も外出もできない状況は監禁状態と言わざるを得ません。
高齢者の個々人の尊厳を守るためにも、板橋区として全ての施設で面会や外出をできるように促していただきたいが、いかがでしょうか。
〇坂本区長
本年10月に発出されました国の通知によりますと、面会につきましては、地域の発生状況を踏まえ、施設で実施の可否を個別に判断できることとされました。一部の施設におきましてはオンライン面会などの事例もございますことから、施設長懇談会等の機会を捉えて、国の通知内容の周知や取組み事例の紹介などを行っているところであります。
また、入所者の外出につきましては、屋外での運動や散歩など、生活や健康の維持に必要なものは外出の自粛要請の対象外とされていることから、この点も併せて周知を図る予定であります。
【相談窓口の設置について】
〇井上温子
また、こういった課題について、直接高齢者施設には相談しにくいという方がとても多くいらっしゃいます。相談窓口をつくり、区民に相談を受け付けていることを周知していただきたいが、いかがでしょうか。
また、在宅の高齢者においても、人との交流がしにくく、外に行く機会も減っています。今ほど介護予防事業が必要なときはありません。介護予防関係の事業は、事業縮小や中止が相次ぎましたが、感染対策を徹底しながら介護予防事業の拡大を求めます。
また現在、ステージ3相当と言われ、感染拡大がしていく中においては不要不急の外出を避けるよう呼びかけが行われていますが、健康維持のためのウオーキングや体操は、高齢者にとって日々必要不可欠なことです。
密にならない場所や時間帯に外に出て運動し、体力維持ができるよう呼びかけていっていただきたいですが、いかがでしょうか。
〇坂本区長
区は平成11年、介護保険苦情相談室を設置し、介護サービス利用者の保護を図るとともに、サービスの利用を支援しているところであります。
面会制限や外出控えによる不安など、この相談室に寄せられた声を施設に代弁する役割を果たすことによって、保険者として、利用者やそのご家族のサービス利用を支援しているところであります。
また、介護保険被保険者証送付時のリーフレット等の同封や区ホームページへの掲載、情報誌の発行などにより、この相談室の周知を図っているところでもございます。
【体罰対応マニュアルの作成について】
〇井上温子
2013年8月、定例校長会において、当時の教育長が、板橋区立学校から体罰をゼロにすることを宣言しています。しかし、板橋区の小学校の特別支援教室で、2019年度から暴言などの不適切な指導が行われてきたことが、匿名の方からの録音データの提供で明らかになりました。
通報を受け、不適切な指導の改善を求めていくに当たって、3つの問題点が明らかになりました。1点目は不適切な指導が発覚した後の初動の遅さと対応マニュアルの不在、2点目は子どもを第一に考えて動く第三者機関の不在、3点目は特別支援教育に当たる教員の専門性の低さです。
そこで伺います。指導室に対し、体罰について通報した後、一体いつになったら結論が出るのかと、とても長い道のりでした。そのため、対応マニュアルについて資料要求したところ、いじめや苦情処理と同じフォーマットで、体罰の対応マニュアルはありませんでした。
個別性が高い案件とはいえ、学校側に問題があった際の対応についてきちんとフローを示すことは重要です。
対応マニュアルの整備など改善を求めますが、いかがでしょうか。
〇中川教育長
体罰は学校教育法第11条により厳格に禁止されております。学校で体罰が発生した場合には、事故後の対応をフローに表した対応マニュアルに基づき対応するとともに、教育委員会では速やかに東京都教育委員会に報告しております。
体罰などの学校事故は、発生状況や背景が複雑かつ多様なことから一律な対応では不十分な場合もありますが、正確かつ迅速に事実関係を明らかにし、適切に対応するために、優れた実践を参考にしながら、対応マニュアルを適宜改善してまいります。
【体罰が起こった場合の教育委員会の対応について】
〇井上温子
最大の問題点は、第三者視点を入れようと相談した教育委員会が、まずは校長を信じて待つという態度そのものでした。そもそも、校長の指導不足で事件が大きくなっていることがあるにもかかわらず、校長を信じるという姿勢を崩さず、教育委員会によるヒアリングや子どもたちへのアンケートなどの調査はなかなか行われませんでした。
被害者はその報告が出るまで待たなければいけないのでしょうか。被害者救済第一には到底なっていません。
教育委員会は第三者機関として、体罰の対応をするのか、もしなれ合いでそうできないのであれば、第三者機関の設置をすべきではないでしょうか。見解を伺います。
〇中川教育長
教育委員会では、体罰が起こった場合、まずは当該教員や体罰を受けた児童・生徒、関係する児童・生徒からの聞き取りやアンケート調査等を速やかに実施し、事実関係を明らかにするよう、学校の責任者である校長に指示しております。
学校の調査が不十分な場合には、教育委員会事務局が直接関係者から話を聞き、状況を確認するために学校を訪問する場合もございます。
今後も体罰ゼロを目指して、校長会や学校訪問などの機会を捉え、継続的に指導してまいります。
【特別支援学校教諭免許の保有率を向上させる具体的な手だてについて】
〇井上温子
2019年度の文科省の調査によると、全国の特別支援学校で特別支援の教員免許を持つ教員は83%となっています。しかし、特別支援学級の特別支援学校教諭免許状保有率は30%ほどで、全国的にその低さが課題となっています。
板橋区の特別支援教室における教員の同免許保有率は、小学校46名中13名で28%、中学校34名中6名で17%の保有率となっており、あまりにも低い現状にあります。現行制度では、教員の免許を保有していれば特別支援の教員になることが可能であり、特別支援の免許状の不所持は法令上の規定はありません。
しかし、特別支援教育には高い専門性が求められています。文科省においても、同免許状の取得を促進することが有効であるとし、専門的な研修を受ける機会をふやすことが必要であり、教育委員会が中心となり研修システムについて検討すべきとしています。
板橋区においても、特別支援教育に係る教員の特別支援学校教諭免許状保有率や専門性の向上に向け、より具体的な対策を打つ必要があると考えますが、見解を求めます。
〇中川教育長
教育委員会では区内教員に対しまして、東京都教育委員会が開設している教育職員免許法認定講習や、独立行政法人が実施している通信教育などの案内を周知するなど、特別支援学校教諭免許の取得を啓発しております。
また、特別支援学級や特別支援教室の教員などを対象に、特別支援教育における効果的な教材や活動例、指導法等についての研修を実施しており、特別支援学校教諭免許の取得推進とともに、教員の指導力向上に努めているところであります。
【障がい者支援施設で起きた虐待について】
〇井上温子
障がい者施設で起きた虐待についての対応でも、被害者を守ることを第一にした対応ができていない現状が明らかになりました。被害が報告されても、加害者側が施設に残り、被害者側は施設を後にせざるを得ない状況をつくってしまっているのです。
初動の遅さと被害者を第一に考えて守ることができていないということは教育委員会と共通の課題であり、改善に向けた具体策をお示しください。
〇坂本区長
障がい者虐待が発生した際には、被害者の安全の確保を最優先に対応しております。また、被害者が安定・安心して暮らしていけるよう、継続的に通所し得る環境や体制の整備につきましても、事業者への指導、働きかけを行っていくものでございます。
【特別支援学校の卒業後の進路について】
〇井上温子
特別支援学校の卒業後の進路についてです。昨年度、4つの特別支援学校を視察させていただきました。それぞれに特徴のある授業が展開されておりますが、現在の特別支援学校は、入学した直後から卒業した後の進路を強く意識した職業訓練校の要素が強くなっているように感じており、より多くの選択肢を選択できるようにしていく必要があると考えます。
具体的には、卒業した後も学び続けられるという選択肢を拡充していけないでしょうか。先日、特別支援学校を卒業した後に、もっと学びたいという思いをかなえる学びの場を展開している「モアタイムねりま」に視察へ伺いました。
障がいのない人は、高校を卒業した後も、専門学校や大学など学び続けることがふえてきている現状にありますが、障がい児者もさらに学びたいという気持ちがかなえられるよう、進学できる学校をつくっていけないでしょうか、見解を伺います。
〇坂本区長
板橋区では区内の特別支援学校と連携をし、障がい者本人の意向を尊重し、卒業生の実習先の調整などを通して進路の決定を支援しております。特別支援学校の卒業生で進学を希望する方にとって、卒業後の学びの場が少ない状況があることは認識をしているところでもあります。
区では今後も各学校と連携をし、卒業生が望ましい進路先に進むことができるように支援をしていきたいと考えています。
【農福連携協定の協定を結ぶ意味について】
〇井上温子
板橋区は、農福連携による障がい者就労の充実に関する協定を、株式会社エスプールプラスと締結し、障がい者の就労を目的とした企業向け貸し農園ソーシャルファームの展開が区内においても始まりました。
双方で共感できる理念が多く、協定をしたとのことですが、どのような理念に共感したのでしょうか。協定を結ぶ意味は何だったのでしょうか。区は、障がい児者の学校や支援業務を行っている方々に事業の一斉周知を行いました。
しかし、これは前代未聞で、一企業のみを周知するのは問題があります。全ての事業者は、障がい児者のために日々仕事をしており、平等に広報していくべきではないでしょうか。
これをきっかけに、より障がい児者に合った道を選択しやすい環境となるよう、さまざまな事業所の取組みについて広報していくようにしていけばいいかと考えますが、いかがでしょうか。
また、今回の企業向け貸し農園ソーシャルファームは、ソーシャルインクルージョンの考え方に立った就労とは言えないと考えますが、区長の見解を求めます。
また、ソーシャルファームの定義について区長はどのように認識しておりますでしょうか。
〇坂本区長
次は、農福連携協定の協定を結ぶ意味についてのご質問であります。障がい者の就労機会の充実を図り、自信や生きがいを創出するとともに自立を促進するという理念に共感をしたものであります。
この考え方は、第5期障がい福祉計画の重点施策に位置づけている社会参加の促進、障がい者の就労支援に結びつくことに鑑み、協定を締結したものであります。
次は、事業所の広報についてのご質問であります。就労支援等に係る情報を提供し、障がいのある方の選択肢をふやすことは、自立や社会参加の促進につながるものと考えます。そのため、さまざまな事業所の情報提供について、地域自立支援協議会就労支援部会等を活用し、支援機関や企業関係者の方の意見も踏まえて検討を進めていきたいと考えています。
次は、ソーシャルインクルージョンの考え方に立った就労についてのご質問であります。本事業は、障がいのある方が主役となり、孤独感を感じることがなく、やりがいを感じながら楽しめる仕事が創出され、長期的に安心して就業できる環境への配慮がなされていると考えます。
そのため、全ての人々を孤独や孤立、排除や摩擦から援護し、健康で文化的な生活の実現につなげるよう、社会の構成員として包み、支え合うというソーシャルインクルージョンの理念に基づいているものと考えています。
次は、ソーシャルファームの定義についてのご質問であります。自立的経済活動を行いながら、障がいのある方をはじめ、就労に困難を抱える方が必要なサポートを受け、他の従業員とともに働いている社会的企業と認識しています。
【税収減と住民主体のサービスについて】
〇井上温子
地域の支え・助け合いについて。AIP推進会議を傍聴させていただいた際、配付された資料を拝見したところ、住民主体のサービスについて、税収減に伴う補助金の見直し、新規事業は空白区域を優先とありました。
介護現場では人材不足が長年の課題です。
今後、専門職はより専門度の高い方へサポートを担っていくことが必要とされ、通所型サービスAも、いつ対象者や事業が縮小されていくか分かりません。
また、高齢者人口の増加による介護保険料の上昇、さらには、コロナによる税収減も見込まれています。
税収減を理由とするならば、A型をふやす方が財政負担が重いですが、A型を拡大し、B型を縮小していくとする記載はまったく的を射ていません。
専門職の不足と財政難の中でこそ住民主体のサービスが必要とされてきており、総合事業における住民主体の通いの場であるB型に力を入れることは必須です。税収減と介護人材の不足におけるA型とB型の関係性について区長はどのようにお考えでしょうか、伺います。
以上のような理由から、住民主体の通いの場、通所型サービスBの補助金の見直しについて撤回を求め、拡充を求めますが、いかがでしょうか。
〇坂本区長
通所型サービスAは平成28年、保険給付サービスから総合事業へ移行した指定事業者によるサービスでありまして、現在も従前の介護予防通所介護サービスのように一定のニーズがある不可欠な事業であると認識しています。
一方、通所型サービスBにつきましては、NPOやボランティア等が自主的に実施する介護予防事業でありまして、多様な担い手による多様なサービスの提供を可能とし、担い手側にも生きがいと地域社会での役割を与え、互助を推進する効果があると考えています。
A、B共に、高齢者の方が住み慣れた地域でいつまでも元気で自立した生活を営むという総合事業の目的、ひいては板橋区版AIPに寄与する重要な事業という認識であると考えています。
補助見直しの撤回と補助金の拡充についてのご質問であります。住民主体のサービスの補助金につきましては、これまでも補助対象経費の拡大や運営リーダーの配置に関する経費の基礎額の追加など、見直しや拡充を図ってきたところでございます。
税収減が直ちに補助金の見直しになるものではございませんが、今後も制度の在り方を含め、必要に応じて見直ししていくものと考えております。
【空白地域優先の見直しについて】
〇井上温子
新規事業は空白区域を優先するという記載がありましたが、空白地域に住民主体の取組みが立ち上がるよう支援していくべきとは考えますが、既に通所型サービスBがある地域も、高齢者の人数に比して十分とは言えない状況です。
手を挙げてくれた団体のやる気をそぐことのないよう拡大していく必要があると考えますが、見解を伺います。
〇坂本区長
住民主体の通所サービスに関しては、利用者が自力で通える場所という観点から、各地域包括支援センターの圏域内にあることは望ましいと考えます。
現在、圏域内に住民主体のサービスがない地域もあることから、まずは空白地域をなくして、全圏域でサービスを受けられる体制をつくっていくことは必要と考えております。
限りのある財源を有効に活用するためにも、当面は空白地域への事業者を優先に考えていきたいと考えています。
【緊急事態以降の協議体について】
〇井上温子
次に、協議体についてです。緊急事態以降の協議体がいかに動けるか、とても重要なときになってきていると思います。
例えば、オンライン面会をしたいができなかったという方のスマホのサポートや、分散しての介護予防の取組みなど、地域で活動している団体に呼びかけ、協力し、進めていく必要があると考えますが、見解を伺います。
〇坂本区長
各協議体におきましては、緊急事態宣言中に、再開に向けたステップや今後の取組み内容の検討及び、新たな支え合いや困り事への対応などを確認いたしました。
宣言解除後につきましては、各地域で新しい生活様式に合わせ、オンライン会議や困り事相談窓口の提案など、さまざまな活動を再開しておりまして、また、いいまちパトロールなど、新たな見守り活動を開始した地域もございます。
今後も地域課題を把握し、住み慣れた地域で暮らしていくための地域づくりを進めていきたいと考えています。
【生活支援コーディネーターの活動について】
〇井上温子
2層コーディネーターは、地域の現場で活動している認知症カフェや通所型サービスなどに出向いていく必要があります。
現場を訪れたことのないコーディネーターが多く、結果、通いの場の担い手が、誰がコーディネーターなのか分からないという現状を聞きます。
まずは、現場を訪れる必要があると考えますが、いかがでしょうか。
〇坂本区長
次は、生活支援コーディネーターの活動についてのご質問であります。生活支援コーディネーターは、地域の連絡調整役として地域活動を推進しているため、地域の実情に合わせ、訪問等により地域活動の現場の把握に努めているところであります。
今後も地域課題の把握や地域との関係づくりのため、必要に応じて現場の実情を把握し、協議体と協議しながら、住み慣れた地域で暮らしていくための地域づくりを進めていく考えであります。
【生活支援コーディネーターの市民活動への理解について】
〇井上温子
地域支援事業の要項には、「市民活動への理解が必要」との記載があります。
これからの地域づくりにとって、地縁団体だけではなく、NPO団体との連携が重要だと考えます。
また、社会状況の変化を捉えたり、区の情報や支援策、民間の補助金等を知らないソーシャルコーディネーターが多いのも課題です。
2層のコーディネーターの役割の一つである地域の活動を生み出していくためには、立ち上げ支援や継続のための支援ができることが重要です。
地域の一人ひとりの住民や3層の活動の担い手に寄り添い続け、これから得られた課題を集約し、協議体や区へ上げていくことができる人材が必要です。
〇坂本区長
生活支援コーディネーターは、地域の連絡調整役として、地域課題の把握や地域との関係づくりを行っていただいております。
また、協議体は、構成メンバーにNPOや社会福祉法人なども参加している地域もございまして、多様な主体が参画して、情報共有、連携の場となっております。
今後も地縁組織をはじめ、地域で活動するさまざまな団体と連携をしながら地域活動を推進していきたいと考えています。
【生活支援コーディネーターの公募について】
〇井上温子
協議体はゆっくりと進んでいく部分もあると思いますが、コーディネーターについては、せっかく地域の中で地域づくりを行う人材が雇えるのですから、今までと違った地域づくりの展開を期待しております。
公募することも重要と考えますが、見解を伺います。
〇坂本区長
協議体は地域の主体が構成員となりまして、主体が持つさまざまな情報を活かして、地域課題や情報を共有し、地域の実情に応じた活動を行っていただいております。
現在、生活支援コーディネーターは協議体の構成員の中から互選で選出されておりまして、協議体と連携して地域づくりを推進しております。
地域課題を共有し、支え合いの地域づくりを進めていくためには、現在の選出方法は適切なものと考えています。
【協議体と介護予防生活支援サービス、一般介護予防との連携について】
〇井上温子
最後に、協議体は協議体だけで動いていて、介護予防は介護予防の枠の中だけで動いてしまっていて一体感がないことが課題です。例えば、B型のない地域に活動を生み出そうとするときに協議体と連携することが必要ではないでしょうか。見解と今後の方針を伺います。
〇坂本区長
協議体には、介護予防のケアマネジメントを行っている地域包括支援センターも構成員となっておりまして、住民主体の通所サービスが空白となっている地域については課題としております。
住民主体の通所サービスについても、空白地域となっている地域包括支援センターが立ち上げ支援を行い、空白が解消した地域もございます。
今後も協議体や地域包括支援センターと連携をして、空白地域の事業者を開拓していきたいと考えています。