2022年12月8日
【議事録】11/29 一般質問で登壇しました。
11月28日(月曜日)から12月14日(水曜日)まで令和4年第4回区議会定例会が開かれています。
その中で、11月29日に一般質問で登壇し、以下の議題について質問しました。
ぜひ、お読みください。
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1.民間と行政の協働について
・国や東京都が実施する事業の活用検討について
・支援対象事業等見守り強化事業の実施について
2、ボランティア・NPO活動の支援について
・応募団体について
・今後のボランティアセンターについて
・いたばしボランティア基金について
・補助金の交付事業について
・申請手続きについて
・審査員の選定について
3、保育について
・全ての世帯への保育サービスについて
・空き保育室活用型定期利用保育について
・余裕活用型一時預かり事業について
・一時保育等の保育料について
4、小中一貫校の特別支援学級について
・国連勧告についての受け止めについて
・通常級で学べる環境整備についての計画
・小中一貫校の特別支援学級同一フロアの見直しについて
・40、50年後を見据えた学校づくりについて
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令和4年第4回東京都板橋区議会定例会会議録(11月29日)
1.民間と行政の協働について
国や東京都が実施する事業の活用検討について
○井上温子
現在、高齢分野では住民主体の活動の実施が、子どもや障がいの分野でも、地域団体などを生かした事業実施が国や東京都をはじめ、様々な部署で進められています。しかし、幾らそういった施策が打ち出されても、自治体が実施をしなければ民間団体は活用すらできません。また、連携して実施する事業については、民間だけ、行政だけそれぞれで検討していると、良いモデルはつくりにくいと考えます。様々な制度をうまく活用し機会損失を減らすことで、地域で活動する小規模な団体まで血流、つまり人、もの、お金、情報の流れがよくなり、地域団体の力も向上していくと考えます。定期的に民間と行政が協議し、一緒に国や都が実施する事業の活用について検討し活動を生み出していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
○坂本健区長
区は、様々な場面におきまして、民間の優れたノウハウを活用し、よりよいサービスを提供するため、民間活用も進めております。今後国や東京都の事業活用を含め、民間事業者等と協力をしながら、課題解決を目指す仕組みを構築し、新たな価値の創造や効率的、効果的なサービスの提供のため、民間活用をさらに推進していきたいと考えています。
支援対象事業等見守り強化事業の実施について
〇井上温子
1つの場所に集い、みんなでご飯を食べるこども食堂は、コロナ禍の影響を大きく受けました。一方、ご家庭を訪問し食品を届けつつ見守りを行うこども宅食の取組みは2017年から文京区で始まりましたが、コロナ禍で関係性が構築しにくい中、重要度が増しています。令和2年には、第3次補正予算で支援対象児童等見守り強化事業が打ち出され、子どもに対する宅食等を通し、支援ニーズの高い子どもたちを見守り、必要な支援につなげる体制強化の推進が求められました。現在では習い事などのクーポン活用型の事業もあります。2022年4月時点で、都内では5つ、全国では128の市区町村がこの事業に取り組んでいます。実施自治体6つに問い合わせたところ、23区では豊島区が、全国では浜松市が地域団体と協働している好事例と考えます。板橋区でも、児童相談所が開設されました。協力団体や訪問員などを地域に増やしていき、民間や地域住民と協力し合いながら子どもたちを支えていくことが必要です。支援対象児童と見守り強化事業についての実施を行うべきと考えますが、見解を求めます。
○坂本健区長
現在区では、要保護児童対策地域協議会を中心に、支援が必要な子どもの早期発見や適切な支援につなげるため、関係機関との連携強化に努めているところでございます。子どもや家庭への支援につきましては、多様な課題やニーズに対し、専門性や機動力を有する民間団体の力を活用することが必要と考えます。民間団体や地域と連携した子どもの見守り、支援体制の強化に向けまして、支援対象児童等見守り強化事業の活用も含めて検討していきたいと考えています。
2、ボランティア・NPO活動の支援について
応募団体について
〇井上温子
まず、プロポーザルについてです。板橋区総合ボランティアセンターのプロポーザルにおいては、基本構想において、「将来的にボランティアやNPOの自主的な運営とするよう見直しを図るものである。」と掲げられていた理念を再検討する前に、また、今までの運営がどうであったかの検証や評価もする前に、区が勝手に募集要項を変え、平成31年から社協が事務局を奪う展開となりました。NPOが事務局を担うところまで成長してきたところでしたが、大変残念でなりません。
区は、社会福祉法人や株式会社などの団体がプロポーザルに参加できるようにしたことについて、「1団体しか応募がなく、競争性がないから」といった説明をしていましたが、令和3年に行われたプロポーザルにおいては、社会福祉協議会からの応募しかなく、結局競争性は担保されていません。板橋区として、この状況について、どのようにお考えでしょうか。見解を伺います。
〇坂本健区長
次は、プロポーザルと今後に関連いたしまして、応募団体についてのご質問であります。
ボランティア・NPO活動活性化事業委託については、事業者に提案を求め、総合的な見地から判断し、決定するため、プロポーザル方式で選定しております。受託事業者には、相談及びコーディネートを行うための知識と経験、問題解決能力に加え、活性化や専門性を高めるための事業展開を求めております。今回の事業委託における応募団体の数につきましては、その結果として受け止めております。
続いて、応募者を増やすことについてのご質問です。受託者の応募では、区外からの参加も可能としておりまして、周知につきましても、広報いたばしや区ホームページの掲載のほか、東京都電子自治体共同運営サービスへ登録をするなど、多くの方の目に留まる工夫を行ってまいりました。また、いたばし総合ボランティアセンターの日頃からの活動を広め、その意義をご理解いただくことも応募者への増加に結びつくものと考えています。
今後のボランティアセンターについて
〇井上温子
ボランティアセンターの在り方については、検討をしているとのことですが、現状それは広く呼びかけられて実施されていません。今まで関わったNPOやボランティア団体、新たに活動を開始している団体と、今までのボランティアセンターの歴史を学びながら、今後の展開について検討するなど、理解を得て、進めていかなければ、良いものはできないと考えますが、見解を伺います。
〇坂本健区長
いたばし総合ボランティアセンターは、区におけるボランティア・NPO活動の推進及び円滑化を図るため、中間支援組織としての役割を担っております。近年の急激な社会情勢の変化に対応しながら、より多くの区民がボランティア、市民活動に参加するために、ボランティア活動推進協議会におきまして、今後のボランティアセンターの役割等について、議論を重ねているところでございます。
いたばしボランティア基金について
〇井上温子
この基金については、ずっと何年もの間、2,000万円辺りを推移している状況で、毎年90万円程度の予算で公募事業を募集し、民間団体に助成を行っています。目減りしないように、寄附を頂いているとのことですが、全く発展していない状況はいかがなものでしょうか。板橋区は、NPOや市民活動への力の入れ方が少な過ぎると思います。公募事業のアウトプットやアウトカムを見せていき、もっと力を入れて寄附を集めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇坂本健区長
区は、区民とともにボランティア活動を推進するため、いたばしボランティア基金を設置し、皆様からの寄附金を積み立て、ボランティア・NPO団体等に対する事業支援の財源として活用しております。この基金は、平成11年度に1,000万円余の寄附金によりましてスタートし、令和3年度までの寄附金の累計額は、3,500万円余となっております。引き続き皆様からの温かいご支援をいただけるように、基金の趣旨を周知していきたいと考えています。
補助金の交付事業について
〇井上温子
また、寄附が集まれば、公募事業についても、ボランティアや市民活動、事業性のあるNPOの支援もでき、幅が広がります。公募事業の審査会は、「事業性」や「助成金がなくてもまわっていくモデルの確立」などを指摘する意見も出ているようですが、持続可能なモデルをつくるにはそれなりの投資が必要です。しかし、板橋区の公募事業はその域に達していないと考えます。むしろ、市民活動の幅を考えれば、事業性を必ずしも求める必要性はなく、ボランティア活動であれば、5万円程度を、期限をつけずに長期的に助成し続けるような形があってもよいはずです。そういった協働事業を連携してやっていけるのも基礎自治体ならではではないでしょうか。
逆に、事業性を求めていく団体については、1団体当たり100万円単位で助成を行い、その分、審査も事業性、発展性、継続性、独創性を考えて厳しく審査を行うとよいのではと考えます。社会状況に合わせたテーマ別の助成も考えられることでしょう。公募事業を発展させていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇坂本健区長
公募事業に対する補助金の交付事業につきましては、ボランティア基金残高の5%を上限として実施してまいりました。個別の補助金の増額等につきましては、基金の運用状況を注視しながら、他自治体などの先進事例も踏まえて研究していきたいと考えています。
申請手続きについて
〇井上温子
板橋区の公募事業は、現状少額の助成にもかかわらず、その審査の過程はあまりにも長過ぎます。説明会、報告会、事前確認、書類審査、メールでの質疑、プレゼン、報告会といった流れですが、もっと簡略化すべきと考えますが、いかがでしょうか。助成金については、使いやすさも重要です。特にスタートアップは、動きながら考えるということもあって、最初に申請したものとは違ったものが必要になる可能性は十分あります。板橋区では変更のたびに変更申請を行い、変更できるか分かるまで長期間かかりますが、団体に寄り添って、使いやすい助成金に更新していく必要があると考えますが、見解を求めます。
〇坂本健区長
公募事業の申請手続につきましては、初めて応募される方が手続に遺漏がないように、また今後の活動が円滑に運ぶよう、接点を多くしてきたところでありますが、申請者の意見も踏まえて見直しをしていきたいと考えています。
審査員の選定について
〇井上温子
審査員についてですが、審査を適正に、責任を持って行える専門性のある人材が選ばれているでしょうか。幾つかの団体にヒアリングしましたが、指摘やアドバイスの妥当性に疑問を持ちます。上から目線で審査するよりも、支援する気持ちを持って接することも大事ではないでしょうか。審査員の選定について改善を求めます。
〇坂本健区長
ボランティア・NPO活動公募事業の審査には、いたばし総合ボランティアセンターの運営に関わる運営委員に依頼をしております。審査員の人選につきましては、公募事業に応募いただく方がよりよい事業展開ができるように、今後も配慮をしていきたいと考えています。
3、保育について
全ての世帯への保育サービスについて
〇井上温子
保育施策については、今まで待機児童の解消が議論の中心でしたが、現在は、保育園の定員が埋まらない「定員未充足」についての議論が中心となり、大きく変わりました。「どこの保育園に入りたいか」が選べたり、フルタイム勤務でなくても、保育園に入れるようになっていくのは好ましいことと考えます。また、これからの時代、働いていなくても、保育サービスを受けられるようにすべきではないでしょうか。育児には休みがなく、保育園に預けなければずっと子どもと一緒の状態の方が多く、ゼロから2歳の在宅子育て中の方にも、週に1回でも、定期的に気軽に保育サービスが利用できる環境になると、精神面も体も回復していくのではないでしょうか。核家族化が進む中での育児は、保護者の負担が大きく、環境が整っていない日本においての少子化が進むのは当然のことと感じます。定期的に育児を休憩できる環境整備として、保育サービスを全ての赤ちゃんを育てる世帯に提供できるようにすべきと考えますが、いかがでしょうか。見解を求めます。
〇坂本健区長
区では、在宅子育て世代に対する保育サービスとして、認可保育園10園で一時保育を、認可外保育施設等での4園で定期利用保育を実施しております。在宅で子育てをする保護者の育児負担を軽減するために、一時的にお子さんを預けられる環境は必要であると認識しています。
空き保育室活用型定期利用保育について
〇井上温子
空き保育室活用型定期利用保育については、待機児童がいないと定期利用保育の利用者もいなくなります。新規園等を活用した定期利用保育については、今後対象を待機児とするだけでなく、在宅子育て世帯に拡大し、定期的に一時保育を利用したい方に門戸を広げるべきではないでしょうか。
〇坂本健区長
空き保育室を活用した定期利用保育につきましては、待機児対策として、4、5歳児の受入れに余裕がある新規開設園の保育所を活用し、入所が決まるまでの間1歳児を受け入れる事業であります。新規開設園の保育室の活用につきましては、当該保育園の入所状況に左右されるために、在宅子育て世帯を対象に加えることにつきましては、慎重に検討する必要があると考えています。
余裕活用型一時預かり事業について
〇井上温子
保育園の定員未充足問題の解決策として、一時保育の実施をすべきと6月の議会で質問しようとしたところ、所管から「一時保育は独立したスペースでなければ実施できない」との説明を受け、一度取り下げていました。しかし、調べを進めてみると、余裕活用型一時預かり保育が可能だと分かりました。板橋区における一時保育は、実施場所も偏っていて、利用しにくい状況です。ぜひ余裕活用型一時預かり保育を実施していただきたいですが、いかがでしょうか。
〇坂本健区長
余裕活用型の一時預かり事業につきましては、保育園の定員が充足していない場合において、定員枠の範囲内で一時預かり保育を行う事業であります。本年度待機児ゼロを達成した一方において、定員の未充足が増加していることから、ゼロ歳児から2歳児を対象とする小規模保育園を活用した一時預かり事業の実施を検討していきたいと考えています。
一時保育等の保育料について
〇井上温子
一時保育は1時間600円で給食が350円です。例えば、9時から5時の8時間預けると給食費込みで1日5,150円です。認可保育園は、平均月1万7,000円程度ですので、比べるととても高い金額となり、育児を休憩したいと思っても、気軽に利用できる金額ではなく、ちゅうちょしてしまいます。週1回パートで働きたくても、保育料でほとんど相殺されてしまいます。定期利用保育の「あやとり」、「どんぐりのおうち」は月4万4,000円で、高い保育料もあってか、定員に対して2分の1から3分の1程度しか埋まっていないとのことです。保育園の利用者、一時保育利用者で、保育料格差があるのはおかしくないですか。育児を休憩したい、週に1回だけ働きたい、次の就職先を考えたいなど、多様なニーズに応えられる普遍的なサービスを提供していただきたいです。
〇坂本健区長
私立保育園につきましては、経営的な観点や近隣施設との均衡などを踏まえて、各園で料金も含めた利用条件を設定しています。一方、区立保育園の一時保育利用料につきましては、区内の私立保育園と比較して、ほぼ同額となっておりまして、妥当な利用料金設定と考えております。
【教育委員会に関する答弁】
4、小中一貫校の特別支援学級について
国連勧告についての受け止めについて
〇井上温子
国連の勧告についての受け止めについて伺います。
日本政府は、2022年8月、スイス・ジュネーブの障がい者権利条約に関する審査を受けて、権利委員会から90項目以上の勧告を受けました。その中の教育に関する勧告について、教育長は、どのように理解し、受け止めていらっしゃるのでしょうか。伺います。
〇中川修一教育長
初めに、国連勧告についての受け止めについてのご質問ですが、国連の勧告では、障がいのある全ての子どもたちが、個々の教育的要求を満たし、インクルーシブ教育を確保するための合理的配慮を保障することなどが示されたと理解しております。特別支援教育は、共生社会の形成とインクルーシブ教育のために必須なものであり、今後も児童生徒の障がい等の状態に応じた1人1人の自己実現と自立を目指し支援してまいります。
通常級で学べる環境整備についての計画
〇井上温子
障がいを理由に、特別支援学校や学級を選ばざるを得ない状況を改善すべく、誰でもが通常級を選択し、学べるよう環境整備をしていく必要があります。ただ一緒にすればいいというのではなく、個々の教育的ニーズを満たせるよう個別支援を行うなど合理的な配慮をし、質の高いインクルーシブ教育を実現するのです。権利委員会は、分離された特別教育をやめるために、国に行動計画の策定を求めていますが、板橋区においても計画を策定する必要があると考えますが、見解を求めます。
〇教育長
現在段差解消や車椅子対応トイレの設置といったバリアフリー化工事を計画的に進めており、改築や大規模改修に際しては、エレベーターやバリアフリートイレの設置を進めているところです。区として改めて行動計画を策定する予定はございませんが、今後もユニバーサルデザインの考えに基づき、全ての子どもが通いやすく、過ごしやすく、学びやすい学校づくりを進めてまいります。
小中一貫校の特別支援学級同一フロアの見直しについて
〇井上温子
次に、小中一貫型学校の施設整備方針において、「特別支援学級は、同じ環境で9年間を通した"つなぐ"支援・指導を行っていくため、同じフロアへの配置を基本」としています。教員などに話を聞いて、そのほうが教えやすいということで、こういった計画にしたとの説明が文教児童委員会にありましたが、これは、分離の発想そのものです。勧告が話に出た今、見直さないことはないと信じたいですが、計画の見直しをするか否か、教育長の見解を求めます。
〇教育長
区では、教室の配置計画について特別支援教育に携わる教員から意見を聴き、現在の固定級の特別支援学級を同一フロアへ配置する方針といたしました。教員からは、特別な支援が必要な子どもは環境変化に敏感であり、小中で同じフロアがよい、小中連携を図るためには教室は近いほうがよいという声を聞いております。方針は、これらを総合的に勘案して決めてきたものであり、特別支援学級の配置計画について現在のところ見直す考えはありませんが、今後も現場の声を大切にしていきたいと考えています。
40、50年後を見据えた学校づくりについて
〇井上温子
学校は、一度つくると長期間にわたって使われることになります。特別支援学級が同一フロアといった発想ではなく、将来を見据え、インクルーシブな学校のあるべき姿を考え、50年後を見据えた学校づくりを行うべきと考えますが、見解を求めます。
〇教育長
最後に、40、50年後を見据えた学校づくりについてのご質問ですが、学校づくりに当たりましては、将来を見据えて児童生徒数の推移や社会状況の変化などに対応できるよう検討していくことが重要であると認識しております。これまでユニバーサルデザインや多様性と包摂性に配慮した良好な教育環境の整備が求められており、区は、子どもたちが過ごしやすく、学びやすい学校を目指してきております。今後も将来の変化や特別支援教育の在り方を含めた教育環境の変化に対応するため、諸室配置や整備内容の工夫による柔軟性のある学校づくりについて研究してまいりたいと思います。