2025年9月16日
【陳情第 89 号】 板橋区職員の退職後の再就職状況を退職管理制度を制 定して公表することを求める陳情について
こんにちは。井上温子です。
令和7年2月14日に、企画総務委員会が行われ、陳情第 89 号 「板橋区職員の退職後の再就職状況を退職管理制度を制定して公表することを求める陳情」について討論を行いました。
この陳情は、以下の 3 点を求めています。
1. 管理職だった職員の再就職状況を毎年管理・公表すること。
2. 管理・公表の根拠として、総務省のガイダンスに沿った退職管理制度を速やかに制定すること。
3. 制度制定にあたり、氏名、離職時の職、再就職先などを届け出事項とし、罰則付きの条例とすること。
これに対し、人事課⻑は現状を説明しました。
• 現在、区は職員の再就職状況について正式な調査や公表は行っていません。
• 一部の団体から要請があった場合は、本人の同意を得て情報提供するに とどまっています。
• 再就職状況を管理するための制度や条例は制定されていません。
• しかし、他の 20 区が既に公表を行っている現状を踏まえ、板橋区としても今後、公表の内容や方法について調査研究を進める必要があると認識しています。
• 区⺠の信頼を損なわないよう取り組んでいく考えを示しました。
(委員討論での井上温子の答弁箇所)
◆井上温子
(職員に対して)適正な措置を講じていたということ、研修を行っていましたとか、就職のときにヒアリングをしていましたとか注意喚起をしていたというこ とをおっしゃいましたが、研修を行ったときの資料ですとか、どのように実施を されていたのか、書面でいただきたいですが、いかがでしょうか。
◎人事課⻑
研修の内容等ですとこういったレジュメ的な形にはなっていこうかと思うんですけれども、どういった形で資料をお出しできるかということはちょっとご相 談させていただきながら行わせていただければと思います。
◆井上温子
ありがとうございます。お聞きしたいのは、今回こういった陳情を出していただいたりとか情報公開請求していただいたりとかして、今板橋区としてもやらな ければと、エンジンかかってきたということは分かるのですが、以前からこれ自 体は把握された上でやらなかったということなのでしょうか。
◎人事課⻑
こういった退職管理の適正の確保というようなところでは認識のほうはさせていただいていたところではございますけれども、個人情報等というようなと ころで一定まだ公表をしていなかったというような状況ではございます。
◆井上温子
情報公開請求をしたところ、該当する公文書が不存在になっていましたということで、その理由を地方公務員法で定められている以上の規定を区独自で定 める必要がないためというふうに回答を受けたということが陳情に書かれてい ますが、そのときなぜこういうような回答をされたのかというのを教えていた だきたいのと、現在見解が違えば、それも併せて教えてください。
◎人事課⻑
情報公開請求いただいたときには、この段階では即座にこういった公表というようなところまでは、先ほどの個人情報絡みというようなところもあります ので、この段階ではまだ考えていないというようなところがございまして、そう いったご回答をさせていただいているというところではございます。
そういった中で、他区の状況を精密に調べさせていただくと、多くの区でというようなとこ ろもございます。そういった意味では、さらにしっかりと深掘りしながら、公表 に向けた検討も必要になってくるというところもございまして、現段階では何か しらやはり、一定公表をしていく必要性はあろうかというふうには認識はしているところではございます。
◆井上温子
私が説明を聞いていて分からないのが、個人情報絡みがあるのでというのを言い訳に、そういう適正な管理をしてこなかったということをおっしゃっている のだと思いますが、情報公開請求やホームページにあげるというときに、では生 年月日まですぐ見えるようにするのか等、その辺りは一定精査するというのは 分かる気はするのですが、そこの議論ではなくて、管理をしていないじゃないで すか。情報を持っていないじゃないですか。情報を持っていて、情報公開請求のときにその方の生年月日は多分要らないだろうということで黑塗りにするとか、 できるだけ個人情報を消しましょう等の議論をされるということは理解はでき るのですが、そもそも管理をしていなかったというところがなぜなのか教えてい ただきたいです。
◎人事課⻑
基本的には届出自体というようなところではできる規定ということにはなってございますので、そのあたりをしっかりと届け出てもらうかどうかというよう なところの検討も一定必要にはなってくるというようなところでございます。
なかなか届出をしっかりしていただかないと、おっしゃるとおりの管理というよ うなところでは一定難しい部分もあろうかというようなところがございますので、そういったところも含めて、これまで少し対応が遅れていると言われてしま えばそれまでかなというふうには、すみません、考えてはございます。
◆井上温子
分かりました。現状についてもちょっとお聞きしたいのですが、現在も、社会福祉協議会もそうですしシルバー人材センターもそうですし、様々な団体に区の退職者がいることは周知の事実としてありまして、あのような斡旋のようなと ころはどのような順序でされていらっしゃるのかというのも現状を教えてください。
◎人事課⻑
今、委員からご紹介いただいたような区政を推進していくための団体等というようなところでは、団体さんのほうからそういった要請があった場合には、す みません、繰り返しになるかもしれませんけれども、職員本人の了承を得た上で 情報の提供をさせていただいている部分がございます。それ以降というところで はもう団体さんと個人間のというお話にはなってまいりますので、そこから先はどう判断されるかというところでは個々の判断になってくるというようなと ころではございます。
◆井上温子
区のほうに団体から要請があった場合に、本人の了承を受け、情報提供しているとおっしゃいましたけれども、その方の選出の方法というのが現状どうなっているのか。この方を紹介しようってなるわけですよね。それはどうやって紹介 されているのかを教えてください。
◎人事課⻑
そういった意味では、団体さんのほうで区におけるどういった職員を求められているのかというようなお話を、退職後のということではありますけれども、お話をお伺いして、そこになるべく見合うような職員がいらっしゃればご紹介をさせていただいているというところではございます。
◆井上温子
私自身、平成 30 年ぐらいに社会福祉協議会への天下りについて総括質問で指摘させていただいたことがあるのですが、やはり区政に密接に関係している団体、区政を推進していく上で必要な団体にであれば、要請があったら人を送って いるんだっておっしゃいましたけれども、それは逆に言うと、区の言うことを聞く団体がどんどん増えていくような形になってしまわないでしょうか。
社協さんはもう区と一緒に色々な福祉事業をやります。何億ものお金がどんどん流れていくわけです。でも、それを、プロポーザルとかしたときに社会福祉協議会 とほかの⺠間のNPO団体が競います。理不尽なのですよね。社会福祉協議会に 何億もの予算がずっと流れている中で、しかも区の元職員がいらっしゃる団体 で、もう大体いろんな話をしているわけですよ、日々。そことNPO団体がやってしまうというのは、退職管理制度をちゃんとやっていないと問題が発生するのではというふうに考えますがいかがお考えでしょうか。
◎人事課⻑
今、一例としてということで、決して区からそういった職員を送り込んでいるというわけではなく、紹介をということがあれば対応させていただいていると いうところでございます。また、個々のそういう団体さんの契約というようなと ころでは、それぞれの団体の規定に即して適切に対応いただいているものとい うふうには認識してございますので、例えばそれによる働きかけが実際にあったというようなことがあれば、そこは適切に区としても対応していく必要があろうかというふうには考えてございます。
◆井上温子
こういう退職管理制度がなぜ議論されているかというと、天下り問題とかがすごく注目を浴びて問題になったからというのが関連しています。
今、総務部⻑が違うというような話をされていましたが、天下りなどが問題になるから退職 管理制度をきちんとして公表しましょうとなっているのです。私もずっとそういった問題を指摘していましたけれども、そこをやはり大きな問題点として捉えて いただかないと。
区からどのように誰がどこにどれだけ流れているのかというのは区⺠に公表すべきものだと思いますし、今回陳情を出してくださって、私もち ょっと不勉強だったなと思いました。
課⻑自身は、やはり一応公表していこう、 つくっていこうということはおっしゃっているのだと思うのですが、議会に陳情が出てこないとそこまでは動かなかったということなのでしょうか。情報公開 請求をされたわけですし陳情者とも話したわけで、その時点で行動には移らな かったのでしょうか。
◎総務部⻑
先ほどちょっと違うというようなジェスチャーをしてしまって、もし気を紛らわしてしまったら申し訳なかったです。
違うというのは、先ほど社会福祉協議会 の個々の話の運営後の話の中に入っていたので、今回陳情に関しては公表する実 情であったりとか、総務部として、人事課としての考え方を執行機関としてご説明を申し上げているところですので、今現在そこのやり取りの中の個々の話に ついては少しここでの説明は完全にできるものなのかどうか、その準備も十分でないというところもございますので、その点はちょっとご理解をいただければというふうに思っています。
それから、本公表に関してでございますけども、陳情をいただいて文面等を読 んでいろいろ調べる中で、板橋区の取組が少し遅れ気味になっているというこ とを認識したことは間違いがございません。私は平成 28 年度から令和2年度ま での5年間人事課⻑をしておりましたので、まさにこの内容についての状況については把握も理解もしていたつもりでございます。
着任した段階で既にこの公 表のことについては、国を通しての動きというのも当然把握をしていたんですけども、当初一気に動きがあった各区に比べて私が着任した段階で動いてなかっ たという中で、そのままずるずるというか、手をつけなかったというような状況 がございます。ここ最近特にあれでしたのが、職員の定年延⻑制が大きく動き出 していたりとか、我々管理職の役職定年制というのを今段階的にやっておりますが、これからはもう 60歳以降、原則的に再任用の管理職というのがいないというような中で、様々いわゆる 60 歳以降の働き方の動き方も少し様々状況が変化してきているというところもありまして、この2、3年間、特にこの公表の案件についてもそこを踏まえた上でというような確認は取っていたところでございますけれども、具体的な公表の手だてまでより具体化した検討までは進んでいなかったというのが実態でございます。
◆井上温子
最後まで話を聞いていただきたいです、質問の。社会福祉協議会とのプロポーザルの案件をここで聞こうとは思っていないです。あのときに指摘をさせていただいて、それを事例として扱ったときに、天下りということがやはり言われのだというところなのです。社会福祉協議会に天下っているじゃない か。そこと⺠間団体のNPOとの競争というのは…… 総務部⻑も佐々木委員も本当にお願いいたします。天下りがあったからこういったものがあったので、そういった事例を挙げて説明をさせていただいているわけで、社協のことを人事課⻑に聞くわけありません。そこを最後まで話を聞いてから、異議があるのであれば異議があるとおっしゃっていただければいいんじゃないですか。よろしいですか。
◆井上温子
氏名の公表のところもお聞きします。先ほどプライバシーの話がありましたが、例えば区関連団体の大体事務局⻑ですとか、そういったところのほうに転職されると、既にインターネット上でお名前とかは拝見する状況があります。管理職級、部⻑級になってくると、部⻑も普通にネット上で名前というのは出てくることがほとんどだと思います。そのような時に、氏名の公表というところについて課⻑がどのようにお考えなのかというところをもう一度お聞きさせてください。
◎人事課⻑
例えば、そういった関連といいますか、区政を推進するような団体さんというところもあろうかと思いますし、一般の⺠間に再就職するというケースもないことはないのかなというところではございます。そういった中でも、例えば⺠間 の役職に就くのか、例えば一般にお進みになるのかということもあろうかと思 いますので、そういった中で、全てお名前を公表していくというような形が正し いのかどうなのかというようなところは、そういった意味ではまだしっかりと 調べ切れていないというところはございますけれども、他区の状況等、あとは今の時勢に即しながら慎重に研究検討していく必要があろうかというふうに認識しております。
◆井上温子
分かりました。色々検討していくときに、やはり公表されていると、きちんと外の人たちも不正があるのではないか、おかしいのではないかということに気づけるということが公表のよさだと思いますので、ぜひその点考慮しながら進めていただきたいと思います。