2025年9月16日
続【陳情第 89 号】 板橋区職員の退職後の再就職状況を退職管理制度を制 定して公表することを求める陳情について
令和7年4月16日企画総務委員会が開かれ、引き続き陳情第89号についての討論が行われました。
板橋区では、退職管理についての定めがありません。
しかし、総務省は「地方公共団体は、国家公務員法の退職管理に関する規定の趣旨及び当該地方公共団体の職員の離職後の就職の状況を勘案し、退職管理の適正を確保するために必要と認められる措置を講ずるもの」と示しています。
なぜ、退職管理が必要かというと、板橋区を退職した後に、区等に対する不適切な働きかけを防ぐためです。
23区では、16区がすでに定めています。
区民からの陳情で、区側も議会側も、何らかしらの対応をしなければと気付かされた形です。
今回は、その陳情第89号について、委員会での質疑を紹介します。
※
○陳情第89号
【板橋区職員の退職後の再就職状況を退職管理制度を制定して公表することを求める陳情について】
◎総務部参事
今回他の22区につきまして調査をさせていただきました。まず、条例の制定状況でございます。退職管理に関する条例につきましては、22区中16区で制定がされてございます。うち届出義務違反に対します罰則を条例で設けているところは、1区のみという状況でございました。その他の区につきましては、人事行政の運営状況の公表に関する条例の報告事項の項目に定めがあるほか、規程や要綱で定めている事例がございました。また、氏名を含めた6項目を公表している区が6区ございます。氏名を除いて、氏名の代わりに業務内容を加えて6項目という区が1区ございました。その他、氏名を除く5項目は再就職先と人数のみという区が、残りの13区という状況となってございます。
次に、公表する場合におけます個人情報保護審議会の付議の要否というところでは、所管のほうに確認させていただきました。法令に基づく場合にまたは本人同意が得られている場合には、特に付議等の問題はないということでの回答を得られてございます。今回の調査結果を踏まえまして、改めて何らかの公表という必要性は認識をさせていただいているところでございます。ご説明は以上でございます。ご審議のほどどうぞよろしくお願いいたします。
⇨同陳情について井上温子の質疑
◆井上温子
個人情報についてですが、同意を得られている場合は付議の問題はないというような、最初の説明でおっしゃっていたことをもう一度ご案内いただいてもよろしいでしょうか。
◎総務部参事
公表に当たってのこの個人情報の取扱いというところでは、いわゆる法令に定めがある場合であったり、または本人同意が得られている場合には、特に個人情報保護審議会のほうへはかける必要はないというようなところで、所管の確認を得ているところではございます。
◆井上温子
その意味は、例えば退職管理についての条例を定めれば個人情報保護に関しては問題ないという認識でよろしいでしょうか。
◎総務部参事
委員お見込みのとおりでございます。
◆井上温子
今の質疑を聞いていて、退職管理に関する条例を定めた後も、それぞれ一人ひとりに氏名の公表をしてもよいかという確認をしなければいけないような質疑に聞こえました。なので、その条例でこの項目を公表しますというのがきちんと制定されてさえいれば問題がないという理解で認識しましたので、そこをみんなで共有できたらいいかなというふうに思いました。
次の質問なですが、何らかつくる必要があるというようなご説明がございましたけれども、前回も同じようなことをおっしゃっていると思います。何が変わったのか、進捗されたのか、どのようなものをつくろうとされているのか教えてください。
◎総務部参事
基本的には、今回22区調査をさせていただきまして、氏名まで公表しているところは6区というような状況でございます。氏名を除く区であったり、または再就職等人数でも再就職先を公益法人と民間企業という項目に分けての人数出しというような公表の仕方をされている区もあるというようなところがございますので、そういった中で後発となる板橋区としてどういった公表の仕方が一番職員のプライバシーの配慮の部分と、あとは区民に対する透明性の確保というところでのバランスといいますか、そのあたりをしっかりと考えていければというふうには考えてございます。
◆井上温子
23区の調査をしたというのは聞きましたが、その中で後発でもちろん制定を目指すわけですけれども、今までやっていなかった自治体が他自治体を参考にして何か新しく退職管理についての制度を設ける際に、やはりよりよいものをつくるということが大切だと思いますが、どの自治体の退職管理制度が参考になると思われたのか、またどういった項目が必要だと思われたのか。調査をしたならば、そこから板橋区としてどうすべきなのかということについて、ご見解を伺います。
◎総務部参事
まだ調査をしたばかりというところがございまして、最終的にまだ練り切れていないのが正直なところではございますけれども、そういった意味ではこの退職管理の条例、特に条例の中身というところでは制定している区では大きく差がないというようなところでございます。また、この退職管理条例を制定していない区では、先ほど人事行政の運営等の状況の公表に関する条例というところ、このあたりは23区、板橋区も含めて全て制定しているところでございまして、その公表項目の1項目として退職管理を設けているというところがございます。そういったところで、どういった形がいいのかというところは一つあろうかと思ってございます。
6項目、氏名を公表するのかしないのかというようなところ、あとはもう人数等だけというような考え方もあろうかとは思いますけれども、現状では一定5項目程度の公表というところは必要ではないかというふうに考えているところではございます。
◆井上温子
5項目程度の公表が必要だということで、今板橋区としての方向性が見えましたけれども、5項目というのは何を除いた5項目ということでしょうか。
◎総務部参事
氏名の公表を除いた5項目というふうに今のところは考えているところでございます。
◆井上温子
氏名を除くという理由を教えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
◎総務部参事
一定その退職職員のプライバシー等に配慮する必要もあろうかというふうに考えているところではございます。
◆井上温子
退職管理が必要だというふうに言われている理由には、公共性とかそういった意味合いが強いと思いますが、そういった公益的な観点よりも個人のプライバシーの配慮のほうが重要だというような認識を板橋区としてはされているということでしょうか。
◎総務部参事
一定の公共性というところも確保しつつ、職員のプライバシーにも配慮というようなところで、他の多くの自治体があまり氏名を公表していないというところ、区への届出自体では氏名も届出をしていただくのはもちろんのことでありますけれども、そこをあえて公表というところは現段階では考えていないというところでございます。
◆井上温子
よく検討していただきたいと思います。東京都の退職管理について電話で問い合せたのですが、まず東京都においては管理職以上の職員で個人情報を公開することが嫌だという声は今までなかったということをおっしゃっていました。もう一つ、東京都も生年月日は公表されないということでした。生年月日というのが特段何かに影響しないからということなのですが、生年月日は公表しないということでした。
また、前回の委員会で、家業を継ぐなどの、個人的な事業をするときに、それでも氏名を公表するのかという質疑があったと思いますが、東京都に関していうとあくまでも法人営利企業、その他の団体に再就職する場合に届出をするということになっていて、個人で事業を行ったり、個人事業主で何かをする場合などに関しては、公表はしないというふうに定めているそうです。板橋区としてはどのようにお考えなのか、教えていただけますでしょうか。
◎総務部参事
一定のこの退職管理条例の定めでは、ガイドライン的なところも出ているところでございます。そういった意味では、今委員がおっしゃったとおり、いわゆる法人格への再就職というところには公表の義務が、地方公務員法でも最終的に定められているところがありますので、その趣旨にのっとって届出をしていただくことになろうかというところは考えてございます。また、詳細につきましては、今東京都のお話もございましたので、さらに深く検討していければというふうに考えてございます。
◆井上温子
前回の委員会で課題となっていたそういった個人的な事業や、ボランティア団体、それら全てについて公表するのかということ、そういったものはしなくて良いのだという話で解決をしたのかなと思いますが、板橋区の進捗が少し遅いのではないかと思います。いつ頃結論を出していこうとされていますか。
◎総務部参事
板橋区におきましては、例年11月に人事行政の運営に関する公表を行っているというところがありますので、一定そこに合わせて公表していくというスケジュール感を考えてはいるところでございます。
◆井上温子
ありがとうございます。お尻が決まっていることで、ちょっと安心しました。11月までに検討をきちんとしていただいてよりよい制度、最低限ではなく、色々な区を見た中で最も適正なものをつくっていただきたいというふうに思っております。
もう1点お聞きします。現状板橋区の部課長は氏名等の公表は全くされていないのでしょうか。様々な情報を見ていると、部課長の名前が既に公になっているような資料というのを見ることがあります。ですので、その点いかがでしょうか。
◎総務部参事
基本的に部課長の氏名は非公表ではございませんので、公表はされているというところでございます。
◆井上温子
部課長の情報が非公表ではないので公表されているわけですよね。ネット上でいろいろ探しても出てきます。それが退職管理になると個人情報だというのは、どのような理由があるのでしょうか。
◎総務部参事
ここの退職をされた以降の次のステージへというところでございまして、現職のお名前までであれば、そういった意味では公表というところももちろん当然のことかというふうには考えてございますが、退職後というところではあえて再就職先に名前をひもづけての公表というところまで必要なのかというプライバシーへの一定の配慮を、現時点では考えているところではございます。
◆井上温子
全く氏名が公表されてこなかった方に関しての個人情報や、氏名公表に関してはかなりハードルが高いのかなと認識を持ちますが、今まで板橋区で部課長として活躍されてきて、特段それが非公表になっておらず、公表されてきた情報が退職管理になって初めて非公表にするというのは明らかにおかしいなと思うのです。
退職後になぜそこが必要なのかというのは陳情書にも書いてあるとおりでございまして、その公益性というのは明らかなわけですよね。一般職員の方とか、今まで一度も世の中やインターネット上にも名前が出ていない人とは違って、管理職とか、法人の代表とか、理事者とか、そういったものというのは結構調べれば出てきたりしますよね。そういった意味合いで、退職管理になって初めて氏名だけを隠しますとなると、それは不信感につながるのではないかと思うのですが、見解を伺います。
◎総務部参事
今委員から貴重なご意見をいただいたところでございます。そういった意味では、今後しっかりと検討していく必要があろうかというふうには考えてございます。先ほど申したとおり、現時点におきましては一定このプライバシーへの配慮と公益性というところの双方バランスを取ったところでとは考えてございますので、さらにいただいたご意見を踏まえて、しっかりと検討してまいりたいというふうに考えてございます。
◆井上温子
陳情書をもう一度きちんと読み直していただき、その内容を踏まえた上で、氏名を非公表とする方向で検討されている理由について、改めて認識を深めていただきたいと思います。公務員として税金から給料を得て公的な仕事をしてきた立場として、退職後も一定期間は公表が必要な部分があるはずです。その整合性について考慮し、前向きにご検討ください。以上です。