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2025年11月1日

令和7年5月14日企画総務委員会 板橋区発注契約に係る労働環境の確認について

 みなさん、こんにちは!井上温子です。

今回は、ちょっとお堅い「議事録」から、私たちの身近な働き方に関わる重要な議論をピックアップします。

板橋区が発注する工事や委託契約について、業者の労働環境をチェックするために導入されている「労働環境チェックシート」。
区としては適正な調達を進めたいところですが、運用上の課題もあります。

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【令和7年5月14日企画総務委員会】 議事録(一部抜粋)

報告者: 契約管財課長
案件名: 板橋区が発注する契約に係る労働環境の確認について(令和6年度集計結果報告)

1. 趣旨
板橋区が発注する契約に係る適正な履行の確保と労働環境の整備に配慮した調達の推進を図るため、要綱に基づき令和5年度より実施している労働環境チェックシートの提出状況に関する、令和6年度の集計結果を報告する。

2. 対象となる案件
労働環境の確認(チェックシートの提出)を求める対象案件は以下のとおりである。
•工事請負契約: 予定価格が3,000万円以上のもの。
•委託契約: 予定価格が1,000万円以上で、建物清掃、人的警備、受付など、人件費が経費の大半を占めるもの。

3. 集計結果及び分析
•分析結果: 提出された労働環境チェックシートにより、受注者による労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法その他の関係法令を遵守する状況が確認できた。改善指導すべき事項はなかった。
•賃金単価の確認:
o工事請負契約:報告された最も低い賃金単価と設計の労務単価を業種・職種別に比較して集計した。
o委託契約:報告された最も低い賃金単価を平均したものとして集計した。
•指定管理者制度について(参考): 社会保険労務士による点検などを通じ、法令に基づいた労働環境が整備されていることを確認している。

4. 今後の方向性
2年間の労働環境チェックシートによる状況把握・分析結果を踏まえ、公共工事等の公契約についての品質確保と労働環境の向上に向けた検討を深めていく。

これについての井上温子の質疑応答箇所を以下にまとめました。
ぜひお読みください。
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◆井上温子 
 まず始めに、任意という言葉に引っかかりがあったのですが、私も板橋区が発注する契約に係る労働環境の確認に関する要綱を拝見させていただいたのですが、これを見る限り、任意で提出いただいているというものではなくて、必須書類なのではないのかなというような理解をしました。
ご認識をお伺いします。

◎契約管財課長 
 こちら、要綱を制定させていただきまして、提出するよう求めるという形で書いてございます。当然こちらの要綱に基づいてしっかりと趣旨をご理解いただき、提出を求めるものというふうに認識しているものでございますが、最終的な提出については任意の部分になるのかなというふうな認識でございます。

◆井上温子 
 要綱で、提出しない場合は指名停止をされたりですとか通報されますというふうに書いてある書類は任意なのでしょうか。そこがあまり理解できなくて、書類を提出しないと指名停止をされる可能性があるわけですよね。通常、この業務を請け負うためには必須で出してくださいねという言い方が妥当ではないかと思いますが、いかがですか。指名停止されてもいいよということでしょうか、出しても出さなくても任意ですよとおっしゃるのは。

◎契約管財課長 
 要綱のほうに提出しない場合、指名停止措置及び関係機関への通報ができるというふうに規定しているものでもございます。そのあたりを十分ご認識いただくような伝え方、その工夫はすべきであるというふうに考えてございます。

◆井上温子 
 区側が何か任意書類ですよと言っている間は改善が難しいのではないでしょうか。
必須書類ですよという形で、当然出すものであるという形に認識を変えないとそもそも難しいのではないのかなというのをやり取りを見ていて感じました。認識を改めていただくのが良いのではと思います。
また、提出時期もいつでも良いということですが、工事というのは完了報告みたいなものがあるのではないかと思うのですが、その際にチェックシートの提出も一緒にお願いしますとすれば、完了報告みたいなものがどういったものか分かりませんが、抜けがなく行えるのかなと思うのですが、いかがでしょうか。

◎契約管財課長 
 今委員ご指摘いただいたような改善というか、も検討できるかなというふうに考えてございます。一方で、工事契約ですと単年で終わるものもあれば複数年で終わるものもある。複数年で終わるもののほうが当然いわゆる規模が大きくて、いろんな方が携わるというところもございますので、どの瞬間でどの程度やっていくべきものなのか。こちらもスタートして2年この形でやってまいりましたけれども、どういうふうにこれを変えていくべきかというところも、今委員ご指摘いただいた点も踏まえて検討していくべきなのかなというふうに考えております。

◆井上温子 
 複数年度にわたるものでしたら年度報告でもいいと思いますし、そもそもこういったことは守ってやっていただかないと困りますよということが多分契約時にあるわけですよね。ですので、その進捗確認ですとか、最終的には完了時で良いと思うのですが、完了時の最低時給は幾らでしたか、それをきちんとこちらで把握して分析をするという流れになるんだと思いますので、完了報告のときにはきちんと提出していただくというふうにすれば業務が終えられない、完了できないというようにすればできるのでは。
事業者さん側も書類が多いと大変なのは理解できるんですよね。色々な報告書類を作成しなきゃいけない。こういった労働環境については、特に労務環境を知っている人たちがきっと回答しなければいけなかったりすると思うので。それこそオンラインで回答できるように、いまの時代紙ベースなのかというのも伺いたいのですが、集計もそのほうが楽じゃないですか。何かオンラインで回答できて、部署に回すにもメールを転送すればそこですぐ回答できるような仕組みにしてあげるだとか、そういった必要があるのかなと思います。
現状の提出方法とオンライン化というところについてお伺いさせてください。

◎契約管財課長 
 現在の方法は、紙ということで提出をいただいてございます。また、オンライン化であったり、提出の時期、作成をお願いする時期等も含めまして、こちらの形でまずスタートするということで2年間やってきているところでありますけれども、よりどういうふうに改善していけばいいかといったようなところに来ているかなというふうに認識してございますので、今委員からご指摘いただいたような点も踏まえて、より出しやすくなるような、状況把握がしやすくなるような、そういった仕組みづくり、内容に改良できるよう検討してまいりたいというふうに思います。

◆井上温子 
 指定管理者制度のほうで提出100%のようなご説明をされていたので、こちらのほうの委託ですとか工事請負契約に関しても100%の回収というのができるのかなというふうに私自身は思いますが、そういった方向性でよろしいのか確認させてください。

◎契約管財課長 
 こちらのお願いの仕方で、事業の仕組みの部分になるかなと思いますので、しっかりと全件回収ができるように、そういったような仕組みづくりをしっかり検討してまいりたいというふうに考えております。

◆井上温子 
 そうしていかないと要綱の意味がなくなってしまうと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。

次ですが、少し理解できなかったのが、労務単価が100%に至っていないのに改善指導がない、改善指導すべき点がなかったというふうにまとめられているんですけれども、法令違反をしていなければ改善の必要はないという理解なんでしょうか、教えてください。

◎契約管財課長 
 こちらにつきましては法令違反がないかどうかを主にチェックしているものでございまして、労務単価からの乖離をもって指摘事項というふうには捉えていないところでございます。

◆井上温子 
 そうすると、労務単価を下回っていても、特段今のところは助言とか何もしないような状況なのでしょうか。

◎契約管財課長 
 それだけの状況を捉えて何か個別にアクションを起こすというような状況ではないというところでございます。一方で、こういったような状況があるといったところをしっかりお知らせしていくことで、見直していただく、振り返っていただくような機会にしていただければというふうに考えております。

◆井上温子 
 そういうので公契約条例がという話になってきているのは理解していますが、条例はもちろんつくったほうがいいと思っていますが、70%程度で特段問題があるみたいな記述が全くまとめとして出てこないというのも何かちょっと不思議だなという。
分析したら設計労務単価が支払われていないというところが触れられないというのが私としてはちょっとどうかなというふうに思います。
区としては、労務単価を参考に積算して、最低工事の価格とかいろいろ決めて発注しているのでしょうから、それの差額というのはどちらに行かれたのかというのはどのように認識しているのでしょうか。教えてください。

◎契約管財課長 
 ご指摘いただいたように、設計労務単価で積算をし、いわゆる価格を積算の根拠にしているものでございます。一方で、この積算の単価と実際に契約する金額、また入札金額が違うというところになりますので、様々な、例えば労務単価どおりの支払いがされていないという状況でありますけれども、それをもって例えばほかの資材にその部分が回ったりという状況はあろうかと思いますが、なかなかそこの労務単価乖離部分がどこに回ったかといったところですと、事業全体の中で積算された結果なのかなというふうに考えております。

◆井上温子 
 つまり、だから人件費に払われずにほかのところに行ったり、利益で残ったり、何かそういう話になってしまっているから、労務単価をきちんと払った積算にしてくださいねというのが問題の論点として出てくるわけですね。
公募で応募する時点から設計労務単価を守りましょうというか、それはちゃんと払いましょうみたいなところでやっていかないとこれが100%にきっとならないよねという話になると思うので、何かお互いしどろもどろな感じになってしまいましたが、そこははっきりときちんと適正な対価を払ってくださいねということを約束してもらう必要があるのかなというふうに思います。

最後にお聞きしたいのが、元請事業者の従業員数は平均10人程度と記載がありますが、意外と少ないと思いました。
平均10人程度となってくると、10人未満だと労働基準法においては就業規則を定めなくてもいいと、必須ではないですよね。
もちろんあったほうがいいと思いますけれども、それでも皆さん、全員作成されているということなのか。区としては、労働基準法で求められていない就業規則まで求めるということなのか、その2点を教えてください。

◎契約管財課長 
 こちらにつきましては、法令をしっかり遵守しているかという点でございますので、また就業規則については、常時10人以上の従業員を使用している場合のみ記入してくださいとなってございますので、これ以上のものを求めているというものではございません。

◆井上温子 
 もう一つ、法令遵守しているかどうかというのを確認できるもの、シートではないなというふうに思いますが、これで改善指導する事項はなかったという結論まで持っていくのが私としては違和感がありました。その点も教えてください。

◎契約管財課長 
 こちら、例えばシートで、昨年度はございませんでしたが、今年度「いいえ」でついてくるようなシートもあったようです。その際は内容をヒアリングさせていただいて、こうこうこういうものですよといった形で改善指導というのをさせていただいたものでございます。

◆井上温子 
 分かりました。

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