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2014年9月8日

視察報告:8/22「富山型デイ」を見学しに行ってきました!

みなさま こんにちは!
先日8月22日に富山型デイの視察に行ってきました。
富山型デイとは、お年寄りも子どもも障がい者も、
分けへだてなく過ごせる場を設けた共生型デイサービスのことで、
民家などをバリアフリーに改築し、地域に密着した小規模で
家庭的な施設で運営されていることが特徴です。
(詳細はこちら→「富山型デイサービス」)
私自身、板橋区でもこのような場づくりをしたい、という想いを長年もちつづけ、
地域交流拠点の促進につとめてきましたが、実際に富山型デイを見るのは初めて。
わくわくしながら現地に向かいました。
富山型デイは、今から20年以上前の平成5年、
看護師さん3人-惣万さん・西村さん・梅原さん-の取り組みから始まりました。
きっかけは、病院で看護にあたっていた時に見たことから。
入院生活が長く続くお年寄りが、「家に帰りたい」と泣きながら、
そのまま病院のベッドや老人ホームで最後を迎える状況に、
心を痛めたのがきっかけだそうです。
惣万さんらは、3人の退職金をつぎ込み、
最初の富山型デイ「このゆびとーまれ」を開設しました。
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「このゆびとーまれ(向かい)」の前で、創設者のひとり西村さん、うちの事務所スタッフと。
「私たちは看護師なので、お世話する人に区別はありません。」
確かに、病院で、看護師さんは色んな人たちのケアをしていますね。
現場で案内をしてくださった、西村さんの言葉どおり、
「このゆびとーまれ」は、年齢や障がいの有無にかかわらず、誰もが集える場所。
しかし、このごく自然な発想を実践するには、様々な壁がありました。
高齢者は高齢者、障がい者は障がい者、子どもは子ども、
と福祉サービスを対象者ごとに管理してきたのが、従来の行政。
窓口や担当課が異なれば、予算も異なり、補助もされにくいという問題があります。
富山型デイの実現は、この縦割り行政を突破する取り組みでもありました。
市町村がだめなら県にうったえ、県には国にうったえてもらう。
話し合いを何度も何度も重ねて、行政の理解を得て、
制度を緩和したり新しく制度をつくっていったそうです。
平成9年、「富山県民間デイサービス育成事業」が開始。
利用者が少人数で、障がい者がまざっていても、補助金が下りるようになりました。
「富山方式」のはじまりです。
平成12年からは介護保険制度が開始。
上記育成事業は廃止され、「このゆびとーまれ」はNPO法人の認証をとり、
「通所介護」と「居宅介護支援事業者」の指定業者となりました。
平成15年には、「富山型デイサービス推進特区」の制度ができ、
認定を受ければ、介護保険指定施設でも、知的障がい者や障がい児が
利用できるようになりました。
平成18年からは、特区の成果を受けて、全国に次々と特例が適用されるようになったのです。
さらに同時期に、「富山型デイサービス起業家育成講座」もはじまり、
県内外から受講者が集まり、富山型デイのノウハウを全国に広めていきました。
10563002_795033030548011_1052958119830486499_n県庁で、厚生部厚生企画課の職員の方々が、富山型デイの詳細をご説明くださっている様子。
「富山型デイは、誰でも受け入れる。それが理念なんです。」
職員の方は、熱のこもった口調で、こうおっしゃっていました。
市民活動からはじまった富山型デイの理念がきちんと行政側にも
共有されている様子がうかがえました。
今では、月に一回、富山型デイに携わる事業者さんたちと行政で会合が開かれ、話し合いがもたれているそうです。
課題や目指すべき方向性が共有されるには、こういった定期的な対話が大事ですね。
現場見学は、上記の「このゆびとーまれ」の他、「NPO法人にぎやか」にも
おじゃましました。
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「にぎやか」の正面にて。
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「にぎやか」のリビングの様子。ゆったり、のんびりされています。
「にぎやか」は、写真のとおり、まるで山荘のようなすてきな場所!
住宅街の一角とは思えないですね。入った瞬間にホッとするような空間です。
使用する木材など素材もこだわりぬかれてつくったそうです。
代表阪井さんは、もともと「このゆびとーまれ」の利用者であり、
ご自身もうつに悩んだ経験をお持ちであり、障がいをもつお子さんがいらっしゃいます。
「このゆびとーまれの存在に救われた」「自分もこのような場所をつくってみたい」
そんな想いから「にぎやか」を設立されたそうです。
2階立てで、1Fのリビングの他にも、休憩室や機織り部屋など、
建物内に複数のくつろぎスペースがあり、利用者は思い思いの場所を選び
自分のペースで時間を過ごすことができます。
団体紹介は、利用者の方とスタッフの方計3人でやってくださって、その時点で感動しました。
「にぎやか」のことを利用者さんも一生懸命伝えようとしていて、自分たちがやっていることに誇りを持っているのが分かります。
“お世話する人とされる人の区別があまりない”そうで、
“スタッフのようによく働く利用者も、利用者のように手のかかるスタッフもいる”
とおっしゃっていましたが、まさにそんな空間を経験出来ました。
心のこもった丁寧なプレゼンに、なんだか感激です。。。

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「にぎやか」のモットーは、
「いいかげんですみません」
「死ぬまで面倒みます」
「ありのままを受け入れます」
そう、利用者も、スタッフも「ありのまま」。
そののびやかな雰囲気が、愛情たっぷりの「にぎやか」の
あったかさをつくっているなあと感じました。
介護は成長分野だとビジネス化し過ぎている気もしているのですが、介護の仕事って、こういうものなんじゃないかなと、
1人ひとりに向き合って、心を大切にして・・。
「生活」「日常」に寄り添えている、この空間が良かったです。
こういう場だったら、介護にあたる側も、充実出来るのかもしれないなと感じました。
「にぎやか」にはこのデイサービスの他、
今回は時間がなくておじゃまできなかったのですが、
認知症デイサービス「かっぱ庵」、ロングステイ「にぎやか荘」の3施設があります。
「かっぱ庵」では、障がい者の就労支援、「にぎやか荘」では看取りまでを行い、
これまでで9人の方のお見送りをしたそうです。
まさに、「血のつながりを超えた家族」といった様子です。
まだまだ書きたいこともたくさんあるのですが、
長くなってしまうので今回はこの辺にしておきます^^;
最後におまけ:駅前で見かけた新しいレンタサイクル、「自転車市民共同利用システム」。
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24時間利用できますし、任意のステーションに返却が可能。
とても利用しやすそうですね。
また、県庁の駐車場には、電気自動車の充電ステーションが。
さすが、「環境モデル都市富山」。またぜひ行きたくなるまちでした!
 

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