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2012年10月22日

本会議報告① 暴力団排除条例について反対討論しました。

本日、10月22日(月)の本会議にて、暴力団排除条例について反対討論を行いました。
正直、すごく、すごく悩んだ末の討論でした。
ですので、賛成する側の意見も理解出来ますが、私が課題と感じたことが少しでも、今後の対策に役立つことが出来ればと思っています。
反対討論の内容を下記にシェアします。
討論の後に、参考になったリンクを紹介しましたので、ご覧頂ければと思います。
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議案第50号 東京都板橋区暴力団排除条例原案可決に対し反対の立場から討論をさせて頂きます。
まず、反対討論をする前提ですが、暴力団が反社会的な組織である事は申し上げるまでもなく、法に背く活動を進める暴力団の擁護をしたいわけではありません。
今回の反対討論において、私は、現状の暴力団排除条例には大きく2点の問題点があると考えています。
1点目として、一般の事業者や区民を、暴力団の矢面に立たせる事の問題点について述べます。
平成3年に成立した暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、通称「暴対法」は暴力団員に対して、みかじめ料の要求や乱暴な言動による債権取立などの不当な行為を規制する法律です。一方で暴力団排除条例は暴力団を規制するというよりも、むしろ私たち行政や、一般の事業者、区民の側に暴力団を利することのないよう、その責務や役割を定めているということが大きく異なる点です。
しかし、条例を守り、暴力団との関係を根絶しようとした市民を守りきれず、犠牲が発生しています。例えば、暴排条例を全国に先駆けて施行した福岡県の北九州市では今年8月以降、「暴力団員立入禁止」のステッカーを掲示している飲食店関係者が襲われる事件が4件発生しました。繁華街の飲食店の女性経営者が暴力団員により切りつけられたり、商店が放火されています。暴力団による「見せしめ」の可能性が指摘されています。
条例による経済制裁は一定の効果は上がり、組に対して上納金を払えなくなり、組員が減ったところもあるようです。しかし、新たな犯罪グループが結成され、困窮した組員の暴発が起こり、市民を危険に負わせています。暴力団の組織は減っても地下組織化し、マフィアが増えるとの指摘があります。暴力団がダミー会社をつくる場合もあります。
ただ排除するのでなく、社会の一定数は悪さをする人がいる、ということを前提に検討せねば、犯罪は総体としては減らないでしょう。
また、警察が一般市民を守りきれるかと考えると、守りきれないと言わざるを得ません。よって暴力団排除で市民が矢面に立たされる条例には賛同できません。暴力団についての情報について通報義務を課す程度に留めるべきではないでしょうか。
2点目として、条例で人間関係まで強制されている事の問題点について述べます。
私自身は条例で暴力団や、その関係者、特定の人物と関わるなと条例で定められる事に疑念を持っています。
排除に値する暴力団やその関係者とは警察のリストに掲載されているとの事ですが、関わるなと言っても、その基準は不明確であるという事です。例えば警視庁のHPでは、暴力団と一回食事をしたくらいでは、暴力団と関係があるとはいえないが、頻繁に食事を共にしていると、密接な関係者と認識されるとの事です。しかしその「頻繁」の判断は警察に委ねられてしまいます。暴力団員でない一般市民が、もし暴力団関係者と認定されると、行政や、暴力団排除に取り組む他の事業者との契約はできなくなり、社会的制裁を受けます。ここで問題となってくるのは警察の恣意性で決められてしまう事です。暴排条例で被害に遭いやすいのは社会的弱者になりやすいことも想定できます。
本来、罰は殺人や詐欺などの犯罪行為に対して課すべきであり、警察の恣意性によって判断可能となるのは危険性が高いという事です。
行為に対してでなく、団体に対して罰する暴排条例とは、憲法の基本的人権に抵触するかが問われた判例もあります。
平成21年5月29日に広島高裁は、暴力団構成員という地位は、暴力団を脱退すればなくなるもので、社会的身分とは言えず、暴力団のもたらす社会的害悪を考慮すると、暴力団構成員であることに基づいて不利益に扱うことは、合理的差別として許されると、広島市暴力団員市営住宅明渡訴訟判例で述べています。
よって条例は憲法の基本的人権に抵触しないとの判例ですが、すでに申し上げた通り、なお課題があるといえます。
以上、2点の理由により本議案に反対し、討論を終わります。
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【暴排条例に関するリンク集】
暴力団
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9A%B4%E5%8A%9B%E5%9B%A3
犯罪>行為論 「行為でないものはおよそ犯罪たり得ない」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8A%AF%E7%BD%AA
暴排条例について(警視庁)
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/sotai/haijo_seitei.htm
暴排条例の概要(警視庁)
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/sotai/image/gaiyou.pdf
暴排条例Q&A(警視庁)
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/sotai/haijo_q_a.htm
東京都暴排条例の条文(警視庁)
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/sotai/image/jourei.pdf
東京都暴排条例の施行規則(警視庁)
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/sotai/image/se_kisoku.pdf
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H03/H03HO077.html 
暴力団対策法で禁止されている21の行為(警視庁)
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kouhoushi/no2/wide/kinsi_koui.htm
草津市 暴力団排除条例と暴対法との関係について
http://www.city.kusatsu.shiga.jp/www/contents/1326437238411/files/gaiyo.pdf
伊予市暴力団排除条例 質疑応答集(含:暴排条例は基本的人権に抵触しないとの広島高裁の判例)
http://www.city.iyo.lg.jp/soumu/kurashi/bosai/bohan/haijo/documents/boryokuhaijo_qa.pdf
社説:暴排条例1年 警察は全力で市民守れ(毎日新聞)
http://mainichi.jp/opinion/news/20121003k0000m070140000c2.html
暴力団員の立入禁止標章制度(福岡市)
http://www.city.fukuoka.lg.jp/shimin/seikatsuanzen/life/bouryojkudaintatiirikinsihyousyouseido.html
襲撃事件多発 北九州に防犯カメラ100台設置(スポーツニッポン)
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2012/10/10/kiji/K20121010004300670.html
120124 「暴力団排除条例」の廃止を求め、暴対法改定に反対する共同声明
http://www.youtube.com/watch?v=NrVLaL_KYa4 
「暴力団排除条例」の廃止を求め、「暴対法改定」に反対する表現者の共同声明
http://www.bouhai-hantai.com/home
「暴対法改訂反対」院内集会での宮台発言(宮台真司) – BLOGOS(ブロゴス)
http://blogos.com/article/43181/
暴排条例に田原氏らが反対声明 「過剰な正義感は危険」
http://www.47news.jp/CN/201201/CN2012012401001957.html
議案第39号 江南市暴力団排除条例の制定について 反対討論(山としひろ江南市議)
http://blog.goo.ne.jp/yama-future/e/f75f8c3beb2bc26a1d37b14784ea1d75
「暴力団排除条例」を考える(鈴木邦男)
http://www.magazine9.jp/kunio/111012/
米、山口組に経済制裁 薬物密輸や人身売買関与 (共同通信)
http://www.47news.jp/CN/201202/CN2012022401001126.html
暴力団排除条例に反対とした(小松久子杉並区議)
http://komatsu.seikatsusha.me/blog/2012/03/02/3492/
「(仮称)杉並区暴力団排除条例(案)・骨子」に対する意見書(山田久美子さん)
http://www.auracommunications.com/top/pub_bouhai.pdf 
東京都杉並区の暴排条例採決結果
http://seijiyama.jp/area/card/5819/cJQo9c/M?S=mbsdm2ldre&_sort_0_5797=f000489007_up&_sort_1_5797=id_up&_sort_length=3
暴排条例の沿革(いなみや須美元江戸川区議)
http://inamiya.seikatsusha.net/back/item/all/1343575526.html
「シノギできない」末端組員の離脱相次ぐ 暴排条例施行1年(産経BIZ)
http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/121001/cpb1210010658000-n1.htm
暴力団は「合法」なのか? 暴対法と暴排条例のあいだに横たわる「矛盾」(ニコニコニュース)
http://news.nicovideo.jp/watch/nw195722
全国暴力追放運動推進センター
http://www1a.biglobe.ne.jp/boutsui/index.html

破壊活動防止法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S27/S27HO240.html
オウムと破防法問題 適用決定~棄却まで(東工大社会工学科伊藤建さん)
http://www.valdes.titech.ac.jp/~tanaka/jugyo/sogob01a/itoken.htm

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