2013年7月20日
勉強会報告:憲法ってなんだっけ?
7月14日、19日で「勉強会 憲法ってなんだっけ?」を開催しました。
緊急企画でしたが、議論が白熱しました!!
そもそも、憲法と法律ってどう違うの??というところから始まりました。
法律は、「国民の自由を制限して社会の秩序を維持する為のもの」であり、
つまり、「国民に対する歯止め」。
そして、憲法は、「国家権力を制限して、国民の人権を保障するもの」です。
つまり、「国家に対する歯止め」であるという原則が大事です。
ですので、憲法を守るのは、国民ではなく、国が守るべきものです。
最近、「婚外子の遺産相続分は婚内子の半分、という民法の規定は憲法に反しないのか。最高裁が大法廷で審理している。少数者を守るのは司法の役割だ。「合憲」判断を見直し、早く「違憲」を示すべきだ。」と話題になっています。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013070102000140.html
法律で国民に対して定めた規定(婚外子の遺産相続分は婚内子の半分)に対して、おかしいと思った国民が、国に対して、憲法を根拠に訴訟をおこしている。
憲法14条の法の下の平等に対し反していないのかを、国に対して国民が訴えているというものです。
このように、私たちが権力者から、人権を侵害されたと思うとき、不平等だと思うときに、憲法が大事になってきます。
しかしながら、自民党改憲草案はこの原則を全く無視するものになってしまっています。
現在の憲法に定められている3つの義務(納税の義務、教育の義務、勤労の義務)に加え、新たに10の義務を国民に課すものになっています。
・国防義務
・日の丸・君が代尊重義務
・領土・資源確保義務
・公益及び秩序服従義務
・個人情報不正取得等禁止義務
・家族助け合い義務
・環境保全義務
・地方自治体負担分担義務
・緊急事態指示服従義務
・憲法尊重擁護義務
最初に述べた大原則に反し、国や権力者をしばるはずの憲法が、国民を支配する道具に変質しています。
また、本来、憲法は最高法規ということからも、個々人で考え方の違う思想や文化的なことを含むべき事項ではありません。(憲法に定めると、特定の思想や文化を押し付けることになるから)
憲法は、国や権力者から個々人の人権と平和が奪われることのないように規定するものです。
「公益及び秩序服従義務」では、デモや政治活動や表現活動などの規制が予想され、
道徳で教える様な、「家族助け合い義務」は、生活保護の受給の壁になることが予想されています。
さらに、現状の憲法では、天皇も憲法を守るという規定になっているのですが、自民党草案では、「天皇は憲法を守らなくて良い」存在として除外しています。
これも、国民主権の日本において、おかしな点ではないでしょうか。
次は、自衛隊から国防軍についてです。
現在の憲法では・・・
第9条 【戦争の放棄、軍備及び交戦権の否認】
第1項 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、 武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
第2項 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
となっていますが、自民党改正草案では、第2項を削除しています。
そして、「戦争放棄」の規定を残しながらも
「内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。」
「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。」
「国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない。」
といったものを加えています。
現在では、自衛隊は専守防衛(攻められたときに守ること)のみとしていて、他国の戦争に参戦出来ないことになっています。最近では、救援物資の支援をするまでになってきていて、9条の解釈について長く議論がなされてきています。
今回、自民党の案では、自衛隊を国防軍とし、集団的自衛権の行使を可能にしようとしています。
私は、戦争には正しいものはないと思っているので集団的自衛権には反対しています。
例えばイラク戦争も、現在では半数以上のアメリカ国民が誤りだったと考えているとのアンケート結果があります。
集団的自衛権を日本が行使していたら、誤りの戦争に参戦していたことになります。
日本が他国に攻められた時に、守るための自衛隊ならまだしも、他国に攻め入るのはやるべきではないと思っています。
DVDを見た後の対話では下記の様な意見が出ました。
- 憲法について、新聞に難しいことが沢山書いてあったけど、なかなか読む気にならなかったから、ここで要点を聞けて良かった。安倍さんの「美しい日本」とか抽象的で、うまく雰囲気をつくっているなと思うけど、ここでとめないとマズイと思った。雰囲気づくりやメディアの影響が大きいと思う。
- 法律は正しいのか、憲法が正しいのか。国民自体がきちんと考えたことがないのでは。今の憲法が正しいのかを議論する必要はあると思う。しかし、現在は、集団的自衛権を行使したくてやりたいのが本音なんだろう。改正案、穴だらけで自民党の国会議員でも分かってないのではないか。今のように説明されたら、自民党でも「う・・・」となるのではないか。この改正案では、反論されたら議論に勝てないだろう。
- 自衛隊は必要だと思っている。自衛隊が必要であるという文言は憲法に入れた方がいいと思っている。改悪はだめだけど、改善はいいし、議論はあっていい。国民生活であっていないものがあれば、入れるのには賛成。法律についても、おかしいものは議論を。96条の3分の2から2分の1は反対。メディアが都合の良いことしか言わないだろう。国民はメディアに流されて、間違えるのでは。
- 改憲に賛成ですか、反対ですか?という問いかけは、意味がないと思っている。問題は、何をどう、どのように変えるのかが大事だけど、メディアではあんまり取り上げない。なんとなく雰囲気で、改正もいいんじゃない?と楽観的になっている人がいてもどかしい。
- 憲法を改善する余地はないのかといったら、あるだろう。しかし、今、やらない方がいいと思っている。慎重な憲法改正が出来る気がしない。政治への信頼が回復し、投票率が高い状態でやった方がいい。
- 学校現場で、君が代を強制的に歌わせるべきではない。教員にも多様性が大事。
教員採用試験でも、国旗・国家をどう思うかという質問があったと聞いた。特定の思想を押し付けるのは異常だと思う。
- 自民党案についての詳細の議論が必要。アメリカに押し付けられた~とか、60年変わってない~とか、議論の焦点をずらして、自民党はうまいなと思う。
- こういう勉強会をしてもらえて良かった。一人ひとりがちゃんと考えて行くことが必要。勉強した人が、また知り合いに伝えて行くことも大事。
- 今まで、憲法改正いいんじゃないの?って思っていたけど、今回、こうやって学んでみたら、おかしいことがいっぱいあってビックリした。そんなに深く考えたことなかった。
- 哲学や倫理といった点からも勉強をしたい。
- こういう勉強会を継続して欲しい。
- 投票に行かない人への広げ方も課題だと思う。勉強会だけじゃなくって、違った手法も考えて行かないとと思う。
思ったよりも、率直に意見交換ができ、政治を語る場って、とても大事だなと思いました。引き続き、 このような勉強会を続け、対話の場を持ち続けていきたいと思っていますので、 その際は、ぜひ、ご参加ください。
今回の勉強会で参考にさせて頂いた伊藤真さんのHPはコチラ→http://www.itomakoto.com/
みんなで見たDVDはコチラで注文できます→http://workers4peace.org/sale4dvd01/
憲法の大事さを伝えようと著作権フリーで、500円でご提供してくださったことに感謝いたしますm(__)m