2020年10月1日
報告:板橋区障がい者計画2023及び障がい福祉計画・障がい児福祉計画について(2020年8月健康福祉委員会④)
8月25.26日に行われた、健康福祉委員会の議事録をベースに、主な内容と私の意見を簡単にまとめました。
陳情(「請願」「陳情」は、区政等に関する意見や要望を議会に対して述べる制度で、どなたでも提出することができるもの)も所管事項調査も盛り沢山の委員会でしたので、数回のブログに分けて報告します。
このブログは、報告:板橋区障がい者計画2023及び障がい福祉計画・障がい児福祉計画について(2020年8月健康福祉委員会④)についての報告です。
介護保険事業計画や障がい者福祉計画については、これから板橋区がどのような方向性に進むのか示されるものなので、質問可能時間最大限使いました。
※他の記事については、下記にリンクしています。
・陳情審査報告:障がい者総合福祉センター・介護予防スペース等(2020年8月健康福祉委員会①)
・陳情審査報告:新型コロナウイルスにおけるPCR検査について等(2020年8月健康福祉委員会②)
・報告:高齢者保健福祉・介護保険事業計画2023と取組について(2020年8月健康福祉委員会③)
・報告:板橋区障がい者計画2023及び障がい福祉計画・障がい児福祉計画について(2020年8月健康福祉委員会④)
●所管事項調査
《板橋区障がい者計画2023及び障がい福祉計画(第6期)・障がい児福祉計画(第2期)の策定について》
→板橋区障がい者計画2023及び障がい福祉計画・障がい児福祉計画はこちら
〈質疑内容〉
○井上温子
重点項目5の障がい者差別の解消及び権利擁護の推進について。
板橋区議会の健康福祉委員会では、虐待に関しての陳情が採択され、未然防止や解消を具体化してほしいということだったと思うが、ここでは具体的なところまでは触れられていないので、どのような対策をしていくのかが分かりにくい。
資料要求の内容によると、昨年度虐待の通報件数が年間で50件、そのうちの虐待認定件数が8件だった。6分の1しか認定されていないとすると、おそらく隠れた虐待のケースがかなりあるのかと思う。
様々な施設や学校、障がい者の方が通われる場所、障がい児、障がい者の方たちが通われる場所において、なかなか本人が声をあげられないケースも多く、通報してもらえるケースもそうはないのでは。きちんと事業所さんや学校を巡回するだとか、障がい者の人たちが守られるような対策が必要だと思うがいかがか。
○障がい政策課長
虐待の防止といったところについては、地域できちんと見守って、適切な支援につながるように通報等いただけるような環境をつくっていかなければならないと感じている。
そのためには、区民の皆様にこういった取組みを広く知っていただくといったところ、まずその普及啓発、本当に肝要だと思っており、今骨子案の中では、個別の事業まで記載していませんが、素案に向けては、どういった取組みを行いますという表現をさせていただきたいと思っている。
そういった中、周知啓発といったところを含めて、障がいのある方との交流の機会、こういったものも創出していくといったところ、障害の理解には非常に肝要かと思っておりますので、そういった取組みの事業化を含めて、調整を図っていきたい。
○井上温子
普及啓発で止まらず、事業化をきちんとしてほしい。
区民の人たちが知ってくださいということで通報できるものではないと思う。きちんと虐待等を見つけるための相談員さんを設置するなどが必要では。
それから、虐待が起きた後、加害者の方が施設に残っていて、被害者の方はその施設を去られてしまったということもありましたから、そのようなことがないように、加害が疑われる人に先にきちんと対応する。被害者が場所を追われることがないように、権利をきちんとその守るということもやっていただきたい。
その辺を具体的に今後対策をしていただきたいと思いますがいかがか。
○障がい政策課長
希望するサービスを使い続けていただくといったところ、これが一番望まれる姿と思っている。
そういった中、虐待があった事案の中では、様々加害者の扱い等含めて、ケース・バイ・ケースと言いますか、基本的には被害を受けられた方が去るようなことがないようにといったところ、そういったところを含めて、区としては、改善報告等を頂戴する中で、事業所の適正な運営といったところを確保するところですので、今後もきちんとそういったところが図られるように、取組みは指導含めてしてまいりたい。
○井上温子
改善報告書等に時間かかるのは理解しますが、それは被害者をまず守った上で時間をかけるというふうにしていただきたい。
ですので、そこら辺が過去の事例としてできていなかったという事実を、やはり反省して、対策を進めていただきたい。
次ですが、教育機関での体罰だとか不適切な指導について。
障がい児・障がい者の計画であるということはもちろん認識していますが、重点項目2で障がいのある子どもの療育・保育・教育の充実と書いてありますので質問させていただく。
教育となると、特別支援学級や特別支援学校があると思いますが、そこで体罰とか不適切な指導というのが行われた場合に、どのように区として対応するのかというのは、きちんと障がい者福祉計画の中でも考えていただきたい。
実際、今年不適切な指導が特別支援教室で起きていますし、そういった問題がなぜ起こるのかといったときに、教育の充実と書いてありますけれども、特別支援教育や特別支援学校に携わっている教員のどのぐらいの方たちが有資格者なのかとか、障がい児への教育について学ばれたことがあるのかというのが、私は大変疑問。
障がい児の教育に当たる人たちのどのぐらいの方が有資格者なのかというのをもしご存じでしたら、今答弁いただきたい。
○障がい政策課長
申し訳ございません。私のほうでそちらのほう、認識、把握していないところでございます。
○井上温子
私も、今回いろいろ携わってみて、初めて有資格者ではない方が特別支援教育に当たられている現状というのを知り驚いた。
やはり障がい特性というのを学ばれないで教育にあたるということは、不適切な指導が起こりやすいですし、体罰にもなりやすいので、その辺はこれから確実にやっていただきたい。
教育の充実とここに掲げるからには、先生たちの教育だとか専門性を高めてもらうということも、もちろん教育委員会と連携してという話にはなってくると思いますが、障がい児の方たちを守るという意味で、検討していただきたいし、有資格者の数というのをぜひ調べていただき、資料で頂きたい。
○障がい政策課長
こちらにつきましては、教育委員会にもきちんと確認しながら、現状を捉えつつ、どういった対応がしていけるのか、連携して考えてまいりたい。
有資格者といったところ、こちらにつきましても、教育委員会のほうに確認をさせていただき、出せるというところであれば、資料としてお出しさせていただきたい。
○井上温子
教育の充実と書くにとどめずに、そういった有資格者の数をどうするのかとか、そういった具体的なところまでぜひ落とし込んでいただきたい。
次に、親の支援とか教育についての記載というのが、どこかにあるのかというのが気になっている。
障がい児の支援というのは、障がい者・障がい児ということは書かれていますが、その家族についての支援という視点がちょっと薄いのかと思うがいかがか。
○障がい政策課長
家族への支援といったところ、様々な事業の中でやっているというところもありますが、この骨子案の段階まででは、それほど厚く記載されていないといったところ、状況はあるかと存じますので、今後素案の調整の中で、全体のバランス含めて表現のほう、検討させていただきたい。
○井上温子
先日、ある勉強会に参加したときに、障がい児が生まれたときに、幼児期に専門的な知識というのを徹底的に学ぶというようなイギリスの事例が紹介されていまして、本当そういうことは重要だと思っている。
結局、生まれたときに障がい児の可能性があるときに、やはり最初にインターネットで検索する。そこには様々な情報にあふれていて、何が正しいのか分からなくなってしまう。そういったことを聞いたのですが、板橋区で、ぜひ親の教育とかそういったものをすることによって、やはり障害受容というのも全然変わってくると思う。次の案が出てくるまでに、そういったことも検討していただきたいがいかがか。
○障がい政策課長
そういった今お話しいただきました観点、非常に重要な要素かというふうに感じるところ。
そういった中では、母子の関係部署もございますので、そういったところもお話伺いながら、どう位置づけできるか検討させていただきたい。
○井上温子
やはり最初に正しい知識を得られると、その後の子どもへの接し方も変わり、子どもが将来色いろな可能性を育んでいけることのきっかけにはなると思いますので、ぜひ前向きにやっていただきたい。
次ですが、重点項目3の地域生活支援拠点について。
国の資料も区の資料も読ませていただきましたが、具体的なイメージが湧かない。地域生活支援拠点とは何なんだと、何か新しくやられるのかというのが、ちょっと見えてこないというのがある。
板橋区が考えている地域生活支援拠点のイメージをもう少しお聞かせいただきたい。
○障がい政策課長
地域生活支援拠点でございます。重点項目3のところに少し表現させていただいているところですが、障がい者の重度化、高齢化や親亡き後を見据えた居住支援のための機能という中で、相談ですとか体験の機会の場、緊急時の受入れ対応、専門性の確保、地域の態勢づくり、こういったものを地域の実情に応じて整備し、障がい者の生活を地域全体で支えるサービス提供体制を構築するといったところ。
こちらにつきましては、大きな建物にそういった機能を入れる拠点整備型と言われるものと、地域の資源を活用して、有機的に結びつけることで対応していく面的整備型と言われるもの、2つあり、板橋区としては、面的整備型という中で調整を図っているというところ。
板橋区としては、現状、相談といったところについては、基幹相談支援センター事業等含めて、相談事業をやっているところ。ただ、こちらについては、専門性の確保を含めて、まだまだ課題があるというふうに考えていますので、基幹相談支援センターを中心としながら、機能の充実といったところに取り組んでいく必要があろうと捉えているもの。
また、緊急時の受入れ、対応というものでございますが、こちらについては、短期入所などを活用した常時の緊急受入れ体制等を確保した上で、緊急時の受入れや医療機関の連絡等の必要な対応を行う機能というように位置づけられているもの。
こちら、緊急時の受入れとしては、現在、赤塚福祉園のほうにあります赤塚ホームで一定の機能を担っていますが、まだまだニーズといったところは非常に高く、特に場所的にも利便性の高いところというようなお話も頂戴しているところ。
こちらについては、板橋キャンパス、こちらの中の短期入所の中に、緊急枠の確保といったところを予定して、調整を図っているところでございますが、民間事業者さんのほうで、こういったものをご協力いただけるところ、今後も少しでも多く確保していく必要があろうかと思っている。
体験の機会、場といったものにつきましては、自立に当たって、一定独り暮らしの体験の機会、場を提供する機能と位置づけられているものであり、こちらも板橋キャンパス内での対応といったところ、調整を図っているところですが、先ほどの緊急時の受入れ含めて、より多くの場所で確保できるように取組みを進めていく必要があろうと思っている機能となる。
また、専門的人材の確保、養成といったところについては、基幹相談支援センターを含めて、こういった取組みをより進めていく必要があろうと捉えている。
最後、地域の体制づくりですが、そういった機能をうまく結びつけていくといったところ、こういったところより充実させていかなければならないといったところで、今年度自立支援協議会を含めて検討を重ねる中で、こういった機能がありますという中でお示しした中で、次期の計画の中では、より充実を図っていくという方向で調整をしてまいりたい。
○井上温子
今までとの違いというのを分かりやすく示してもらいたい。
おそらく今までもネットワークは組んでいたし、連携はしてきたのだと思うのですが、もう少し板橋キャンパスの機能とかも含めて、次の案が出てくるときまでには、具体化されているとありがたいと思う。
次ですが、医ケアについて。
医ケアのお子さんとか、大人の方も含めて、かなり問題が深刻だと思っていまして、医ケアのお子さんを育てている親御さんは、なかなか自分の自由な時間が持てなかったりだとか、保育園とか幼稚園でもなかなか受け入れてもらえなかったりだとか、特別支援学校にいらっしゃっても、学校にずっと待機されている方とかも多い。
やはりそこは看護師さんを配置するだとか色いろしながら、もうちょっと改善していかなければいけないところだと思う。
重点項目2の中に書かれてはいますが、どこまでやられるのかという目標をぜひ書いてもらい、医療的ケアが必要なお子さんをお持ちの親御さんが希望を持てるような目標を立ててほしいというのが、思いとしてはある。
あとは、幼稚園、保育園に入れている方が多いというようなアンケート結果があった。医ケアでなくて障がい児の親御さんに関しては、保育園、幼稚園に入れているというデータがありましたが、働いていない方に関しても、例えば二人三人育てていたりとかする中で、障がい児の方をずっと家庭でみるというのは、1人だけでも大変だと思う。
就労要件がなくても、保育園も利用できるように改善をしていただきたいと思いますがいかがか。
○障がい政策課長
具体的に医療的ケア児の方々の受入れ環境といったところ、こちらについては、骨子案ではこういった記載をさせていただいていますが、素案に向けた事業という中の位置づけを含めて、関連所管とも調整を図らせていただいているところ。
こちら外部の方も入って、親の会等の外部の方も入った会議体も昨年度設置したところですので、こういったところでお話を伺いながら、必要なニーズを捉えた支援策を考えてまいりたいというふうに考えている。
後段でいただきました保育園での受入れ、就労していない方といったところ、ここにつきましては、なかなか我々のほうでどうするというのが難しいところですが、そういったご意見があったことを所管のほうにお伝えさせていただきたい。
○井上温子
伝えるというよりは、きちんと検討してほしいとい。障がい者の計画をつくるにあたって、このようなことを目指したいからお願いしますという交渉をしてほしいがいかがか。
○障がい政策課長
近日、今度医療的ケアの関連の部署の会議体と障がいサービス課で行わせていただいている会議がありますが、そういった中で、保育関連部署もいらっしゃるので、そこでもぜひ議題というような形でお話合いさせていただきたいと考えている。
今お話ございました障がいサービス課のほうで医療的ケアの会議体のほう、今運用しておりまして、その中で、今後も各所管の課題などを共有しながら、そうしたところが少しでも課題を克服する具体的な取組みに結びつくように、庁内の連携を図りながら進めていきたいと思う。
今日いただいたご意見につきましても、関係所管内で共有させていただきたい。
○井上温子
次に、地域保健福祉計画が上位計画になって、地域共生社会に向けてということで、上位計画ができたわけですけれども、それとの整合性というかが見えてこい。
共生視点はどこなのかというのが、今回の障がい者計画を見ていて分からないというのが率直な感想。もちろん障がい者の個々の特性に応じた専門的なものというのは、かなり充実させて、個別でやっていくということは必要だと思うが、それと併せて、ごちゃ混ぜの共生という視点も必要だと思う。
私は、以前から共生型の居場所だとか、ごちゃ混ぜの居場所というのを、地域共生社会に向けてきちんと設置するというのが、とても重要だと思っているのですが、その検討状況だとか共生視点というのは、どこに含まれているのかというのをお伺いしたい。
○障がい政策課長
こちらにつきましては、基本目標3、冊子のほうでございますけれども、この中で、「つながり、ともに支え合うまち」という中で、地域共生社会といったところ意識をさせていただいているところですが、少し分かりにくいというようなお話もありましたので、今後一定の整理を考えさせていただきたいというところ。
実際の居場所づくりといったところ、具体どこにといったところまでは、まだ検討が至っていないところですが、昨日の介護保険計画のほうでも、お話のほうが出たというふうに伺っていますが、やはりそういった理解促進するためにも、居場所、いろいろな方々が一緒になる居場所が大事だというようなことはお伺いしたところでございますので、そういった視点も含めて、今後もきちんと考えてまいりたい。