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2020年11月9日

【2019年板橋区決算の討論について】

【2019年板橋区決算の討論】
HPにアップするのが遅れてしまいましたが、
読んでもらえたら嬉しいです!
板橋区の実質単年度収支は、
22億220万7800円の赤字。
平成29年度は約26.8億円の黒字、
平成30年度は約49.6億円の黒字でしたが、
昨年度は赤字に転じています。
これは、東武東上線連続立体化事業基金へ45億4百万円積み立てた結果です。
万が一のときに備えて、貯めてきた、財政調整基金を東武東上線立体化事業基金にあて、実質単年度収支を赤字にしてしまったことに、納得することはできません。
ハードのための財政調整基金ではなく、まさしく、今のような、危機的な状況のためにとっておく、区民のための財政調整基金であってほしいと願うからです。

詳しくは井上温子 〜一人ひとりの声から板橋の未来をつくる〜(Fecebook)https://www.facebook.com/kagayaku.community/よりご参照ください。
以下長いですが、10/27の討論原稿です。ぜひご覧ください。
報告第1号 令和元年度 東京都板橋区一般会計歳入歳出決算
報告第2号 同国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算
報告第3号 同介護保険事業特別会計歳入歳出決算
報告第4号 同後期高齢者医療事業特別会計歳入歳出決算及び
報告第5号 同東武東上線連続立体化事業特別会計歳入歳出決算
に対する反対討論を無所属の会を代表し行います。
板橋区の令和元年度決算は、歳入2,270億5,500万円、歳出2,213億5,700万円。
実質単年度収支は、22億220万7800円の赤字となりました。
平成29年度は約26.8億円の黒字、平成30年度は約49.6億円の黒字で推移してきましたが、実質単年度収支が赤字に転じています。
これは、東武東上線連続立体化事業基金へ45億4百万円積み立てた結果です。
万が一のときに備えて、貯めてきた、財政調整基金を東武東上線立体化事業基金にあて、実質単年度収支を赤字にしてしまったことに、納得することはできません。
ハードのための財政調整基金ではなく、まさしく、今のような、危機的な状況のためにとっておく、区民のための財政調整基金であってほしいと願うからです。
また、板橋区の歳出総額に占める扶助費は、令和元年度、835億円の37.7%、平成30年度817億円の38.7%、平成29年度819億円の39.2%で、年々割合は減ってきています。
しかし、新型コロナウイルスの影響により、今後、生活保護費等が来年、再来年で増えていくことが予測されます。
行政は、富の再分配が最大の役割です。生活保護が必要な人にきちんと届くように、その他の事業においても、しっかりと区民の生活を守ることができるよう、再開発事業への投資から、福祉への予算拡充へ舵を切ることが求められていくでしょう。
さて、2019年の決算をチェックするにあたりまして、5年前の2015年の国勢調査のデータを改めて確認しました。現在、2020年の国勢調査が行われていますが、世帯の現状と区政で行われている事業が整合しているか否かチェックするためです。
2015年の時点において、板橋区の世帯数は29万1149世帯で、そのうち一人世帯は14万9236世帯で、51.2%となっています。
男親と子どもからなる世帯、女親と子どもからなる世帯は2万2255世帯で、7.6%となっています。夫婦と子ども2人の4人で構成される世帯で、世帯主1人だけが働く世帯を「標準世帯」と考えた考え方は、遠い昔の話になっています。
標準世帯を軸とした政策決定は板橋区でも、当然されてないことと思いますが、単身世帯がますます増え、世帯当たりの人数が減っていく中、家庭内で行われてきたことをいかに社会で担いあい、孤立させない暮らしづくりができているのでしょうか。
今回の討論では、反対する視点を5点取り上げます。
1.一人でも孤立せずに生きられる社会づくり
 単身世帯が増えていく中で、孤立しない地域社会づくりが必要です。どれだけ社会状況が変化しても、人と人との交流は生きていくなかで欠かせないものです。市場が拡大するにつれて、地域の支え合い・助け合いは減り、交流する機会が減ってきました。
 世代や国籍、障がいの有無をこえて、様々な人たちが地域で交流することは、昔なら自然だったことと思いますが、現在は、その当たり前のことを、地域共生社会として目指し、交流を生み出していかなければならない時代となっています。
地域共生社会をリアルに表現する場としては、多様な人たちが接点を持てる共生型の地域交流拠点の設置が必要です。
 地域活動の現場で起きていることは、こども食堂、介護予防、認知症カフェ、障がい者の余暇活動等と縦割りですべてが対象別に分断されているということです。子ども食堂だけれども、担い手の高齢者の介護予防になっていて、障がい者も一緒に参加している。
 一つの事業から一面的な評価しかしないのは、もったいない、と考えます。現在の縦割り制度を見直し、共生型の補助制度の創設や多角的視点で包括的に地域活動と協働できるような体制づくりを求めます。
生活体制整備事業では、協議体が設置され、1層、2層と生活支援コーディネーターが配置されていますが、地域活動の現場、住民主体の交流拠点や早期実現が求められる住民主体の訪問事業には、第三層のコーディネーターが必要です。本来は、3層、2層、1層と立ち上げていけば、ボトムアップの地域づくりが実現できましたが、現状、板橋区での立ち上げは逆になっています。
 今後、3層に力点を置いた予算化、事業実施をすることで、一人でも孤立しない地域づくりができると考えます。
 また、在宅の高齢者を支える制度が不十分です。一人暮らしでも自宅で暮らし続けられるようにするためには、介護人材の確保や訪問介護の拡充、訪問型サービスBの制度化は待ったなしです。自宅で生活支援や介護・看護・医療を受けながら暮らしていきたいと願っている人は数多くいるにもかかわらず、施設入所に比べ、制度が不十分です。
 家族介護ありきになってしまっており、家族に負担がかかってしまうから施設に入所するという方、ひとり暮らしだから、在宅は無理と諦める方も多数いらっしゃいます。
 施設入所と在宅での暮らし、1人あたり経費の分析を進め、自宅でも十分な生活支援や介護・看護・医療を受けながら暮らせるよう、予算を確保し、在宅での暮らしの支援策を充実させていくことが重要です。
特に、介護人材の不足は深刻で、育成は急務です。令和2年度より、200万円の予算をつけ、介護職員初任者研修の資格取得のための助成金制度が始まりましたが、介護福祉士実務者研修の資格取得の助成金も併せて実施している区が17区あります。国家資格である介護福祉士を取得できる要件となる介護福祉士実務者研修の受講者にも、助成金を出していただくなど、介護人材の育成に重点を置くよう要望します。
 障がいがあっても、板橋区で暮らし続ける地域社会づくりは、さらに力を入れていく必要があります。医療的ケアが必要な方を含めて、障がい児を預かれる保育所や通える学校、障がい者の相談支援やグループホーム、日中一時支援等の拡充を行い、家庭ありきではなく、地域で共に暮らし続けられるよう実現を求めます。

2、子どもの計画は子どもたちに
 子どもたちが放課後を過ごす場所の環境は変化をし続け、現在、板橋区では子どもの放課後の居場所は「あいキッズ」を中心とせざるをえない状況にあります。
 児童館は、利用対象は0歳から18歳未満までですが、現在は乳幼児親子が中心となっています。
その結果、平成25年度には、43万人利用していた小学生は、令和元年度2万人にまで利用は減少し、5年前と比較すると年間約41万人減少、昨年と比べても6千人も減少しています。逆に、乳幼児の利用が伸びているかというと、平成29、30年度は33万4千人だったのが、令和元年度は27万5千人へと減少しており、3月の新型コロナウイルスの影響を考慮しても、減少幅が大きく、児童館の有効利用の観点からも、問題があると考えます。
 昨年11月あたりから、いくつかの児童館で時間帯別利用者調査を行いましたが、いずれも放課後の16時以降の乳幼児親子の利用は少なく、夕方以降を小学生の遊び場とするなど、共存できる可能性が見えています。児童館は以前、夏は18時まであいていましたし、児童館の在り方の再考を強く求めます。
 一方、あいキッズは、学校の延長線上にあり、様ざまな理由で「行けない」「行きたくない」「楽しくない」子どもたちもいます。
 あいキッズがあるからと、児童館を締め出され、放課後の居場所を狭められている子どもたちの状況を、懸念しています。
30年度から小学校を通じて全児童を対象にあいキッズについてのアンケートを実施していますが回答率は30年度11.9%、令和元年度は10.5%と大変低いままです。
 特に、令和元年度、5年生が全体回答者のうち6.1%、6年生は4.3%となっています。また、回答者が少なすぎて、参考として良いのか分かりませんが、30年度のアンケートの聞き方では、「あいキッズが楽しくない」と答えた児童は6.6%でしたが、令和元年度は聞き方を変えたところ、14.8%に上昇しています。
さらに気になるのは、『あいキッズにもっと欲しいと思うものは何ですか』という問いへの答えでは、「思い切り遊べる場所」との答えが17%で一位だった平成29年度のアンケート結果がありますが、平成30年度からは、「自由に遊べる場所」という表記に代わりました。設問が変わった結果、30年度12.2%、令和元年度11.9%と下がっています。「思い切り遊べる場所」が欲しいと答えた子どもたちの声はどこへ行ってしまったのでしょうか。
 逆に、落ち着いて過ごせる場所が欲しいという声もあります。利用人数が多い北野小学校のあいキッズに無所属の会で視察に行った際、児童100人を超える利用があり、音の測定器を持参したところ91デシベル以上の数値がでました。除夜の鐘よりもにぎやかな数字で、落ち着いて過ごす部屋もない状態です。勉強は、地べたに教科書やノートを広げていて、健康上も衛生上もよくありません。あいキッズ事業については、小学生の安心・安全な居場所として機能しているといった評価が強調されていますが、課題についての調査や分析が不十分です。
 全児童対策なのであれば、回答率はもっと高くなければ参考になりませんし、アンケートの内容をどのように事業に反映させていくのか、子どもたちの声は結局届いていないではないかと疑問でなりません。
また、公園に行っても、禁止事項が多く、やりたい遊びができる環境にないという声もききます。
 子どもの遊び場について、昔と今、どのように違っているのでしょうか。今、どのような環境で子どもたちは育っているのでしょうか。子どもの遊び場について計画が策定されていないのは、おかしくないでしょうか。あいキッズや児童館、公園、校庭開放、土手など、行政として子どもの遊び場について現状を調査し、乳幼児、小学生、中学生、高校生と年代別に子どもたちの遊び場がどのような状況なのか、何を充実させていくべきかなど、子どもたちにも主体として参画してもらいながら検討し、子ども遊び場計画を策定し、改善していくことを求めます。

3.未来に希望を持てる支援を
 養育費は子どものための当然の権利のひとつです。離婚後、養育費を受け取ったことがない人は板橋区で約7割。ひとり親で、子どもを育てている方の多くは、養育費を支払ってもらえていません。
 不払いを解消するために、先行自治体を参考に、東京都でも支援制度を開始し、港区や豊島区で、保証会社を利用した養育費の受け取り支援が始まっています。
 板橋区においては「直接支援する考えはない」(20/02/25一般質問)と時代の流れに逆行した答弁でしたが、子育て世帯が安心して暮らせるまちと認識してもらうには、支援に乗り出していく必要があるのではないでしょうか。
 事業実施をしている豊島区は、以前、消滅可能性都市と言われましたが、それ以来、目覚ましい変化をしていると感じます。板橋区は、子育て世代の流出が顕著ですが、豊島区のような危機感がなく、歯止めをかけようとする施策に乏しいのではないでしょうか。
 親が、生活保護を受給している家庭の子どもは、アルバイトをしても、稼いだお金の一部が収入認定されてしまいます。部活や学業や将来の進路など、認定除外してもらえる部分もありますが、令和元年度15-18歳の子どもたちのアルバイト代から収入認定された額は、3392万3466円です。昨年度は2959万5703円で、収入認定された額は増えています。区長は、「国に制度改正を求める考えはないが、高校生世代の生活保護受給者が自立更生に資する費用を家計に頼ることなく捻出する努力をしていくことは、応援をしていきたい」と答弁していましたが、どう応援しているのでしょうか。できるかぎり、自分の将来に投資できるよう、十分なアドバイスをできているのでしょうか。本来なら、将来の投資に限らず、自分で稼いだお金くらい、好きなことに使ってほしいと思いますし、生まれながらにして不公平となっているこの制度の改善を区として要望していってほしいと考えますが、アドバイスも十分にできていないのではと懸念します。
 生活保護世帯の子どもたちのサポートを含め、生活にお困りの方たちへ十分にサポートしていこうと考えると、板橋区の福祉事務所のケースワーカーの数を増やしたり、福祉事務所の数自体を増やしたりしていく必要があると考えます。
 住まいを失ってしまった方、仕事を失ってしまった方、人生自体にあきらめを感じてしまっている方、人が信じられなくて、自暴自棄になっている方、色々な人が福祉事務所に助けを求めてくると思います。相談しても、解決策なく、つなぐところもなく、帰ることになる人もいると思いますが、どこにもつながらなかった人が一人でも少なくなるように、地域資源の活用も含めて対応をお願いします。また、丁寧に対応するためには、ケースワーカーの増員だけでなく、精神面のサポートや研修、理念の共有も必要です。
 新型コロナウイルスの影響で、今後さらに困窮者が増えていくことが予想されますが、未来に希望を持てる事業の実施、体制の強化を求めます。

4.虐待、体罰の早期発見と被害者を守る視点を
 2013年8月30日、定例校長会において当時の教育長が体罰ゼロ宣言を読み上げ、板橋区立学校の校園長とともに、「板橋区立学校から体罰をゼロにする」ことを宣言しています。
 しかし、板橋区の小学校の特別支援教室で2019年度から暴言などの不適切な指導が行われていたことが匿名の方の通報により明らかになりました。
 不適切な指導についての改善を求めていくにあたって、4つの問題点が明らかになったと考えています。
一点目は、不適切な指導が発覚したあとの初動の遅さ、二点目は、子ども第一に考えて動く第三者機関の不在、三点目は、対応マニュアルの不在です。四点目は、特別支援教育にあたる教員が特別支援の免許を持っていないことが多く専門性が低い場合があることです。
 体罰ゼロを宣言し、体罰がおきることを想定していないのか、体罰が起きた際の対応マニュアルがなく、不透明であり、このままでは教育委員会に対して不信感を持ってしまうこともあると考えられますし、改善を求めます。
 また、障がい者施設でおきた虐待についての対応でも、被害者を守ることを第一にした対応ができていない現状が明らかになりました。被害が報告されても、加害者側が施設に残り、被害者は施設を後にせざるを得ない状況をつくってしまっているのです。初動の遅さと被害者を第一に考えて守ることができていないということは、教育委員会と共通の課題であり、早急な改善を求めます。
 現在、新型コロナウイルスの影響もあり、感染不安での不登校も増えています。
 板橋区の不登校児童・生徒へのサポートは、個別対応を徹底していくことを求めます。平成31年3月に全小・中学校に不登校児童・生徒に関する規定を資料要求しましたが、6校以外、マニュアルはない回答が返ってきました。現在、マニュアルを整備する予定ということですが、その際は、ゴールを教室に戻ることのみにしないことを求めます。教室以外の第三の居場所で学習をできたり、オンラインでの学びを取り入れたり、多様な選択肢を示していただきたいと思います。

5.ボトムアップを活かした行政運営を。
 子ども食堂の支援については、ふれあい農園会の野菜を板橋区が買い取り、こども食堂へ提供していること、補助額の拡大などについては、評価していますが、いずれも単年度の計画となっているため、継続的な支援を進め、地域団体が安心して活動継続できるよう進めていただきたいと思います。
 板橋区であれば、一人親でも、共働きでも、圧倒的に暮らしやすい。そんな地域を目指していただきたいと思います。
 空き店舗ルネッサンス事業については、家賃と人件費を補助していますが、月40万円、3年間で1440万円の補助をしてきて、3年たった瞬間、廃業しているところもあります。きちんと公募を行い、将来の事業継続性を見たうえで、支援を行うなど、事業実施の見直しを図る必要があると考えます。
 昨年度の4月から社会福祉協議会がいたばし総合ボランティアセンターの事務局を担っています。将来のあり方については、区や社協が指導することなく、住民やNPOが中心となって、総合ボランティアセンターの今後のあり方について検討していく必要があると考えます。区の市民活動に対する姿勢から見直しを改めて求めます。
 生活体制整備事業の協議体についても、市民活動への理解が必要との記述があります。さらに少子高齢化が進む地域社会においては、地縁組織だけでなく、市民活動・NPOや各種ボランティア団体の力も活かして、ボトムアップでの地域づくりをしていっていただきたいと思います。
 次に、特別会計についてです。
 国民健康保険については、保険料が高すぎるため、抜本的な改革が必要です。
 後期高齢者医療事業については、後期高齢者だけを抜き出し、医療制度をつくる必要があるのか疑問です。制度の一元化を進めていく必要があると考えます。
 介護保険事業についてです。年々、介護保険料が高くなっていくのが当然のようになってしまっていますが、「介護保険料をあげない」と決めて、制度設計をし直す必要があるのではないでしょうか。また、介護人材の不足は深刻です。担い手の確保、育成に力をいれなければいけません。施設が足らず、「死に場所難民」も出るといわれ、在宅での老後を支える仕組みへの予算化を拡充すべきです。
 また、今後の高齢化を見据えると、事業該当者や要支援者を地域住民主体で支える取組みへの予算化に重点を置き、健康寿命をのばしたり、地域福祉の担い手になっていってもらったりすることは必須です。
 東武東上線連続立体化事業についてです。なぜ、東上線の立体化について、特別会計をつくるのか不明です。基金は特別会計がなくてもつくれますし、例えば、高島平のまちづくりも将来特別会計をつくっていくというのでしょうか。新型コロナウイルスで財源不足が続いていくことが予測されます。都市開発などのハード優先の事業実施ではなく、福祉優先の板橋へ転換するためには、実質単年度収支を赤字にしてまで、基金に積み立てた判断は反省すべきと考えます。
最後に、昨年、愛知県長久手市のゴジカラ村を会派で視察させていただきました。そこでは、高齢者施設やこどもの施設が複合的に設置されていますが、そこでは、アフターファイブの5時からは、みんな一緒だよ、という共生に理念がありました。
 孤立させない暮らしづくりを目指し、保育や障がい、高齢者福祉の専門的な事業を充実させていきながらも、地域社会においては、共生や交流事業の推進や当事者主体でボトムアップの事業運営を進めていくことを改めて求めまして、令和元年度決算に対する討論を終わります。
 ご清聴、ありがとうございました。

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