2013年12月17日
あいキッズ条例 反対討論報告
昨日、本会議にて、あいキッズ条例についての反対討論を行いました。
議案は、自民党・公明党・民主党の賛成で可決してしまいましたが、討論内容について報告いたします。
<関連リンク>
●あいキッズについて
http://www.city.itabashi.tokyo.jp/c_kurashi/016/016254.html
●東京新聞:板橋区が「学童」廃止 条例案可決 自由参加型へ一本化
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/20131217/CK2013121702000156.html
東京都板橋区あいキッズ条例に反対の立場から討論いたします。
はじめに、子どもを中心に据えた施設利用へ改善を求めて指摘させて頂きます。
あいキッズを視察させて頂いた際、あいキッズの運営事業者さんたちが、雨等で校庭が使用出来ない場合の子どもたちの居場所を問題としていることが分かりました。
雨で校庭が使えないとき、室内だけでは子どもがあふれてしまうため、体育館を使うそうですが、地域の人の催しや行事等で使っていて、体育館を使用することが出来ないこともあると聞きました。他の教室も柔軟に貸してもらえる訳ではないそうです。
また、新制度では、子どもたちを3つの居場所に分けるということでしたが、その3拠点の立地をなるべく近い場所にすることで、子どもたちに目を届けやすくしたいと言う考えが事業者さんにあっても、なかなか実現もできないということです。
地域の人の催しや行事で使っていて体育館等を使用することが出来ないこともあると聞きました。他の教室も柔軟に貸してもらえる訳でもないそうです。新制度では子どもたちを3つの居場所に分けるということでしたが、その3拠点の立地をなるべく近い場所にすることで、目を届けやすくしたいという考えが事業者さんにはあっても、なかなか実現できないということです。
定員なく預かるなら、施設問題を改善してからではないのですか?
定員なく預かるなら、まず、子どもを最優先し、地域の方や行事については他の施設を利用してもらう必要があるのではないでしょうか。
1教室に60人程度がギュウギュウに過ごすこともあると聞きましたが、これが健全育成とは思えませんし、これは改善が必要だと考えないのですか。
地域の人については、放課後の子どものためのボランティア活動で入って頂くのは素晴らしいと思いますが、雨の日に子どもが狭いスペースにいるのに、体育館を他の方が使っているという光景はおかしいと思います。
まず、狭い場所にこどもたちを押し込むのでなくて、運営事業者と学校が放課後の子どもたちのことを最優先に考えて頂きたいです。
2点目の反対理由として、存在しない壁について指摘します。
子どもたちの放課後の活動が学童登録と一般登録で壁が出来ていると説明がされてきましたが、「壁はないです」と話すあいキッズ事業者さんが多数ありました。
あたかも、この学童登録と一般登録の壁を取り除くために、新制度に移行するかのように言われますが、壁を取り除くためであれば、学童登録と一般登録の形でも、うまく運営できている事例を参考に、改善出来たはずです。既存の制度で改善出来ることを試みず、枠組みから転換し解決を図ろうとするのでは、いつまでも質の向上、ソフト面の向上にはつながらないのではないでしょうか。
3点目の反対理由は、そもそも、学校内に小学生の居場所を限定するというのは、健全な育成なのかということです。
あいキッズが全校で実施されると、小学生の放課後の居場所は小学校になる。児童館は小学生の居場所ではなくしていくという方針ということですが、子どもたちの放課後は、そんなに単純な考え方で決めるものなのですか?朝から家に帰るまでずっと学校ですか?
それなら、レギュラータイムについては、あいキッズに登録してもらうというよりも、その学校に通っている小学生は自動的に、あいキッズに登録しておくべきで、「任意」では問題ではないですか。それこそ、あいキッズに登録している小学生と登録しなかった小学生で壁ができませんか。
他にも、あいキッズ利用の際、学校が終わってから直接来なければならない点に違和感を感じています。
家に親がいる小学生の場合です。一旦、家に「ただいま」と帰ってから、「これから学校のあいキッズで遊んでくるね」とは出来ない訳ですが、この制度っておかしくないでしょうか。皆さんが小学生のときは、どうでしたか?
私のときは、帰る前や帰りながら友達と「どこで遊ぼうか」と話し、一旦、家に帰ってから遊びにいきました。その先は、公園だったり、学校の校庭だったり、様々です。
一旦、家に帰ってしまったら、あいキッズには遊びにいけない、公園で遊んでから、あいキッズに行こうというのも出来ない。私には違和感があります。
低学年だけでなく、小学6年生まで対象となる、あいキッズ事業です。学校が終わったら、学校で遊ぶという単一的な流れで自由度が少ないため、自分で遊びを考えたり、自分で遊び場を選んだりという主体性が育まれていくのか疑問です。
4点目の反対理由は、生活の場としての機能が確保出来るのかという点です。
就労等で、家に親がいない小学生の場合、一旦「ただいま」とするところが「学童」だったはずです。果たして、今回の仕組みで、学童のときのように、1人ひとりの様子に目を配れるのでしょうか。
一般質問にて、生活の場の確保について教育長の見解をお聞きしましたが、
「保護者が就労等により家庭を留守にする児童への具体的な配慮につきましては、従来のあいキッズ学童クラブ登録と同様に対応してまいります。」という回答でしたが、「生活の場を確保するのかどうか」については回答がありませんでした。
従来のあいキッズ学童クラブ登録と同様の対応というのは どういった対応なのですか?同様に学童クラブの生活の場となるお部屋を設けるということでよろしいのでしょうか? 文教児童委員会の説明は、私には同様の対応には思えませんでした。
5点目の反対理由ですが、小学生の放課後をビジネス化していないかという点です。
板橋区では、学童以外のあいキッズの運営も民間事業者に委託していますが、文京区では学童はそのまま残し、放課後の子どもたちの居場所づくりについては、実行委員会形式で、地域の方達が中心となって運営する手法を時間かけて進めています。
放課後対策を民間に委託するのでなく、地域で見守るという形は理想ではないでしょうか。板橋区のあいキッズは、「迅速に進めたぞ」という実績や成果といった表面的なことにとらわれているように思います。保護者や地域の人、小学生も一緒に時間をかけた検討が必要ではなかったのでしょうか。
最後に、あいキッズ条例の8条の利用の不承認についてです。第8条で教育委員会は、心身に著しい障がいがあり、集団生活に適さないと認められるとき利用を不承認出来るとしています。障害者差別解消法に照らし合わせると、心身に著しい障がいがあっても、その方があいキッズに行きたいとなれば、板橋区は受け入れる体制を 整える義務があるといっても過言ではなく、障害者差別解消法では、行政はまず社会的障壁の除去に配慮しな ければならないのではと質問したところ、
教育長は、「平成26年度については、児童館条例を適用した現行制度のあいキッズ学童クラブ登録と直営の学童クラブが残るために、児童館条例を踏まえた条例としたものです。今後、障害者差別解消法の施行に合わせまして、他の条例も含め、整備していきます」と回答されました。
これは、あいキッズ条例に合わせて児童館条例を改善すれば良かったのではないですか?要支援児の受け入れに親の就労を要件とすることにも賛同出来ません。
何故、こんなに条例制定を急ぐのかも分かりませんし、十分な議論をせずに学童を廃止することは全く賛同できず本条例に反対し、討論を終わります。